判旨
既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、確定判決があるときに該当し、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
確定した略式命令と同一の公訴事実について再度公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、刑訴法337条1号の「確定判決を経たとき」に該当するか。また、その場合の救済手続はどうあるべきか。
規範
同一の公訴事実について既に確定判決(略式命令を含む)が存在する場合、憲法上の二重処罰の禁止および刑訴法の規定に基づき、裁判所は実体審理に入ることなく免訴の判決を言い渡さなければならない(刑訴法337条1号)。
重要事実
被告人は、無免許運転の事実により昭和41年8月4日に罰金1万円の略式命令を受け、同年9月17日に確定した。しかし、その後検察官は同一の事実について再度略式命令を請求し、同年10月19日に同一内容の略式命令が発せられ、同年11月5日に確定した。この二重処罰の状態を是正するため、検事総長が非常上告を申し立てた。
あてはめ
本件では、被告人の無免許運転という同一の公訴事実に対し、先行する略式命令が既に確定して既判力が生じている。後発の略式命令請求時において、裁判所は既に確定判決があることを看過して重ねて略式命令を発したが、これは刑訴法337条1号に違反する。確定判決があるにもかかわらず実体裁判を行ったことは法令違反であり、かつ被告人にとって二重の刑罰を課されるという不利益が生じていることは明らかである。
結論
後発の略式命令は違法であるため、非常上告に基づきこれを破棄する。その上で、刑訴法337条1号を適用し、当該公訴事実について免訴を言い渡す。
実務上の射程
事件番号: 昭和41(さ)2 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和38年11月15日の無免許運転の事実について、同年12月5日に罰金6000円の略式命令が確定した。しかし、その後、検察…
本判決は、略式命令に確定判決としての既判力があることを前提に、二重起訴および二重処罰の禁止を貫徹したものである。答案上は、一事不理再理の原則や既判力の範囲が問題となる場面で、略式命令も刑訴法337条1号の「確定判決」に含まれることを示す論拠として利用できる。
事件番号: 昭和41(さ)1 / 裁判年月日: 昭和41年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した裁判と同一の犯罪事実について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該後の裁判は刑事訴訟法337条1号に違反する。このような二重の確定裁判が生じた事態は、被告人の不利益が明らかであるため、非常上告の手続により原判決を破棄し、免訴を言い渡すべきである。 第1 事案…
事件番号: 昭和48(さ)2 / 裁判年月日: 昭和48年4月19日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】確定した略式命令と同一の事実について、重ねて略式命令が発せられた場合、後になされた略式命令は刑事訴訟法337条1号に該当し、免訴の裁判をすべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和46年4月1日の無免許運転の事実につき、同年6月24日に略式命令を受け、同年7月13日に確定した。しかし、検察官は…
事件番号: 昭和43(さ)2 / 裁判年月日: 昭和43年10月15日 / 結論: その他
各一個の窃盗および道路交通法違反(無免許運転)の併合罪につき、原判決が懲役刑および罰金刑を併科している場合において、道路交通法違反の罪についての非常上告に理由があるときは、原判決中罰金刑の部分のみを破棄すれば足りる。
事件番号: 昭和60(さ)1 / 裁判年月日: 昭和60年10月1日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について、重ねて略式命令が発せられた場合、その審判は法令に違反するため、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和58年2月21日の道路交通法違反(一時停止無視)の事実について、同年3月9日付の公訴提起に基づき略式命令を…