二重処罰(略式命令)に対する非常上告
刑訴法458条
判旨
既に確定した略式命令と同一の公訴事実について、重ねて略式命令が発せられた場合、その審判は法令に違反するため、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
確定した略式命令が存在する公訴事実と同一の事実について、重ねて略式命令が発せられた場合における刑事訴訟法337条1号(免訴)の適用の有無、および当該略式命令の効力。
規範
確定判決があるときは、判決で免訴の言渡しをしなければならない(刑事訴訟法337条1号)。略式命令が確定した場合には確定判決と同一の効力を有するため、同一の公訴事実について重ねて公訴が提起され、審判がなされた場合には、同条項を適用して免訴を言い渡す必要がある。
重要事実
被告人は、昭和58年2月21日の道路交通法違反(一時停止無視)の事実について、同年3月9日付の公訴提起に基づき略式命令を受け、同月24日に確定した。しかし、同一の事実について同年6月22日付で再度公訴提起・略式命令請求がなされ、同簡易裁判所は同日、重ねて同一内容の略式命令を発し、これも同年7月7日に確定した。検事総長は、この後者の略式命令に対し、法令違反を理由として非常上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、被告人の一時停止無視という公訴事実は、昭和58年3月9日付の公訴提起に基づく略式命令によって既に審理され、同月24日に確定している。この確定により一事不再理の効力が発生しているため、その後に提起された同年6月22日付の公訴提起及びそれに基づく略式命令は、確定判決があるときに該当する。したがって、裁判所は刑訴法337条1号に基づき免訴を言い渡すべきであったが、これを看過して再度略式命令を発したことは、審判の法令違反にあたるといえる。
事件番号: 昭和41(さ)2 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和38年11月15日の無免許運転の事実について、同年12月5日に罰金6000円の略式命令が確定した。しかし、その後、検察…
結論
被告人に不利益な法令違反があるため、本件略式命令を破棄する。被告事件については、刑訴法337条1号により免訴とする。
実務上の射程
同一事実について二重に確定判決(略式命令を含む)が存在する場合の救済手続(非常上告)と、一事不再理効に基づく免訴の判断枠組みを示すものである。答案上は、二重起訴や確定判決の効力が問題となる場面で、実効的な救済として免訴判決を導く際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和42(さ)3 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、確定判決があるときに該当し、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、無免許運転の事実により昭和41年8月4日に罰金1万円の略式命令を受け、同年9月17日に確定した。しかし、その後検察官は…
事件番号: 昭和41(さ)1 / 裁判年月日: 昭和41年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した裁判と同一の犯罪事実について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該後の裁判は刑事訴訟法337条1号に違反する。このような二重の確定裁判が生じた事態は、被告人の不利益が明らかであるため、非常上告の手続により原判決を破棄し、免訴を言い渡すべきである。 第1 事案…
事件番号: 昭和43(さ)2 / 裁判年月日: 昭和43年10月15日 / 結論: その他
各一個の窃盗および道路交通法違反(無免許運転)の併合罪につき、原判決が懲役刑および罰金刑を併科している場合において、道路交通法違反の罪についての非常上告に理由があるときは、原判決中罰金刑の部分のみを破棄すれば足りる。