判旨
同一の犯罪事実について既に略式命令が確定している場合、重ねてなされた略式命令は法令に違反し、裁判所は免訴の言渡しをすべきである。
問題の所在(論点)
同一の犯罪事実について二重に略式命令がなされ、一方が既に確定している場合、後になされた略式命令の効力および裁判所が取るべき措置はどうあるべきか。
規範
確定判決があるときは、刑事訴訟法337条1号により免訴の言渡しをしなければならない。また、略式命令の請求を受けた裁判所は、既に確定判決がある等の事由により略式命令をすることが不適当と認めるときは、同法463条1項に基づき、通常の規定に従い審判をしなければならない。
重要事実
被告人は、昭和43年10月18日の道路交通法違反(速度超過)の事実について、同年10月25日に越谷簡易裁判所から罰金2万円の略式命令を受け、これは同年11月9日に確定した。しかし、松戸簡易裁判所に対しても同一事実について略式命令の請求がなされ、同裁判所は昭和44年2月19日に重ねて罰金2万円の略式命令を発付し、これも確定するに至った。
あてはめ
本件では、越谷簡易裁判所による略式命令が先に確定しており、一事不理再理の原則が及ぶ。松戸簡易裁判所は、同一事実につき既に確定判決があることを看過して略式命令を発付しているが、本来であれば刑事訴訟法463条1項により通常手続に移行させた上で、同法337条1号に基づき免訴を言い渡すべきであった。したがって、後になされた松戸簡易裁判所の略式命令は法令に違反し、被告人にとって不利益であることは明白である。
結論
松戸簡易裁判所がした略式命令を破棄し、被告人を免訴する。
実務上の射程
二重起訴や二重処罰の禁止という刑事訴訟の基本原則を確認する事例。実務上、略式命令の確定後に同一事実で再度略式請求がなされた場合、裁判所は通常手続に移行(463条1項)した上で免訴(337条1号)を言い渡すべきことを示している。非常上告の事案として、手続違背と免訴事由の関係を整理する際に参照される。
事件番号: 昭和38(さ)13 / 裁判年月日: 昭和39年2月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定判決を経た事件について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該公訴は確定判決があるときに該当し、免訴の判決を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和36年10月12日の道路交通法違反(免許証不携帯運転)の事実に関し、同年11月15日に公訴提起され、同…
事件番号: 昭和41(さ)2 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和38年11月15日の無免許運転の事実について、同年12月5日に罰金6000円の略式命令が確定した。しかし、その後、検察…