判旨
未決勾留日数の算入(刑法21条)において、裁判所が実際に勾留されていた日数を超えて算入することは同条の解釈適用を誤った違法であり、破棄の対象となる。
問題の所在(論点)
未決勾留日数の本刑算入(刑法21条)において、裁判所が実際の勾留日数を超えた日数を算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑への算入は、身柄拘束されていた実日数を超えて行うことはできない。裁判所が実日数を超える日数を算入する旨の裁判をした場合、同条の解釈適用を誤った違法があり、著しく正義に反するものとして破棄の対象となる。
重要事実
被告人は第一審判決(懲役3年)の宣告後、控訴を申し立てた。被告人は第一審判決宣告時から引き続き勾留されていたが、昭和40年10月16日に保釈され、同年11月6日に再収監された。その後、昭和41年2月19日の原審(控訴審)判決まで勾留が続いた。計算上、控訴審における実際の勾留日数は123日であったが、原裁判所は「当審における未決勾留日数中130日を原判決の刑に算入する」との判決を下した。
あてはめ
本件における被告人の控訴審での未決勾留実日数は123日であることが記録上明らかである。しかし、原審判決はこれを上回る130日の算入を命じている。刑法21条は未決勾留の「日数」を算入するものであるところ、存在しない勾留日数を算入することは同条の許容する範囲を逸脱している。したがって、実日数を超える7日分の算入については、法の解釈適用を誤った違法が存在するといえる。
結論
原判決中、未決勾留日数130日を算入した部分は刑法21条の適用を誤った違法があるため破棄し、実日数である123日を第一審判決の刑に算入する。
実務上の射程
事件番号: 昭和51(あ)613 / 裁判年月日: 昭和51年7月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、現実に存在しない日数を含めて算入することは、同条の適用を誤った違法な裁判にあたる。 第1 事案の概要:被告人は第一審で無期懲役の判決を受け、控訴を申し立てた。控訴申立の日(昭和50年8月26日)から原審(控訴審)判決言渡しの前日(昭和51年3月14…
裁判所が裁量により未決勾留日数を算入する場合でも、その上限は「実際に未決勾留されていた日数」に拘束されることを示す。答案上は、刑法21条の適用の限界を確認する際や、実日数との齟齬がある場合の違法性を論じる際に参照すべき事案である。
事件番号: 昭和54(あ)227 / 裁判年月日: 昭和54年7月13日 / 結論: その他
保釈中の被告人が第一審判決の言渡により保釈が失効し即時収監され、即日控訴の申立及び保釈請求をし、その日のうちに保釈釈放された場合には、右判決言渡の日の勾留は、控訴審における裁定算入の対象となる。
事件番号: 昭和45(あ)1877 / 裁判年月日: 昭和46年4月22日 / 結論: その他
別件の刑に決定通算されるべき勾留と重複する未決勾留の日数を刑法二一条により本刑に算入することは許されない。