原審の未決算入に誤りがあり、判例違反として破棄された事例
刑法21条
判旨
刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、現実に存在しない日数を含めて算入することは、同条の適用を誤った違法な裁判にあたる。
問題の所在(論点)
裁判所が刑法21条に基づき未決勾留日数を算入する際、被告人が実際に勾留されていた日数を上回る日数を算入することが許されるか(刑法21条の適用の適法性)。
規範
刑法21条は「未決勾留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる」と規定するが、この算入の対象は「現実に存在する未決勾留日数」に限られる。したがって、実日数を上回る期間を算入することは、同条の解釈を誤った法規適用の違法となる。
重要事実
被告人は第一審で無期懲役の判決を受け、控訴を申し立てた。控訴申立の日(昭和50年8月26日)から原審(控訴審)判決言渡しの前日(昭和51年3月14日)までの間、引き続き勾留されていた。この期間の現実に存在する未決勾留日数は計202日であったが、原判決は「当審における未決勾留日数中230日を原判決の本刑に算入する」と言い渡した。
あてはめ
本件における原審での現実の未決勾留日数は、控訴申立日から判決前日までの「202日」である。しかし、原判決はこれを「230日」として算入した。これは、現実に存在しない未決勾留日数を本刑に算入したものといわざるを得ず、刑法21条の適用につき判例と相反する判断をした違法なものであると評価される。
結論
原判決中、実日数を超える未決勾留日数を算入した部分は刑法21条の適用を誤った違法があるため破棄される。最高裁は自判し、現実の日数である202日を本刑に算入する。
実務上の射程
裁判所による裁量的な未決勾留日数の算入(刑法21条)において、計算ミス等により実日数を超えて算入した場合の救済根拠を示す。実務上は、算入日数の計算誤りが上告理由(刑訴法405条2号等)になり得ることを示す先例として機能する。
事件番号: 昭和41(あ)546 / 裁判年月日: 昭和41年9月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留日数の算入(刑法21条)において、裁判所が実際に勾留されていた日数を超えて算入することは同条の解釈適用を誤った違法であり、破棄の対象となる。 第1 事案の概要:被告人は第一審判決(懲役3年)の宣告後、控訴を申し立てた。被告人は第一審判決宣告時から引き続き勾留されていたが、昭和40年10月1…
事件番号: 昭和57(あ)1371 / 裁判年月日: 昭和58年3月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】検察官が控訴を申し立てた場合、その後の未決勾留日数は刑訴法495条2項1号により当然に全部本刑に通算されるため、裁判所には刑法21条による算入の裁量権はない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役15年の判決を受け、被告人は昭和56年9月14日に、検察官は同月22日にそれぞれ控訴を申し立てた。原…