保釈中の被告人が第一審判決の言渡により保釈が失効し即時収監され、即日控訴の申立及び保釈請求をし、その日のうちに保釈釈放された場合には、右判決言渡の日の勾留は、控訴審における裁定算入の対象となる。
第一審判決言渡の日の勾留が控訴審における裁定算入の対象となるとされた事例
刑法21条,刑訴法358条,刑訴法495条1項
判旨
未決勾留日数の本刑算入(刑法21条)において、現実に存在しない未決勾留日数を本刑に算入することは、同条の適用を誤る違法な裁判にあたる。
問題の所在(論点)
刑法21条に基づく未決勾留日数の算入において、実際には身柄拘束されていない期間(現実に存在しない日数)を判決で算入することの適法性が問題となる。
規範
刑法21条の規定に基づき、未決勾留日数を本刑に算入するためには、その前提として当該日数が現実の身柄拘束として存在していなければならない。したがって、現実に存在しない未決勾留日数を本刑に算入することは許されない。
重要事実
被告人は強盗致傷罪で起訴され、第一審で懲役3年6月の判決を受けた。第一審判決の言渡し当日、保釈が失効し即時収監されたが、同日中に控訴の申立ておよび保釈請求を行い、再度保釈された。その後、身柄を拘束されることなく控訴審の判決に至ったが、控訴審判決は「未決勾留日数中150日を本刑に算入する」と言い渡した。
事件番号: 昭和51(あ)613 / 裁判年月日: 昭和51年7月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、現実に存在しない日数を含めて算入することは、同条の適用を誤った違法な裁判にあたる。 第1 事案の概要:被告人は第一審で無期懲役の判決を受け、控訴を申し立てた。控訴申立の日(昭和50年8月26日)から原審(控訴審)判決言渡しの前日(昭和51年3月14…
あてはめ
本件において、被告人が控訴審(原審)で実際に身柄を拘束されていたのは、第一審判決当日に収監され、同日中に保釈されるまでの「1日」のみである。それ以外の期間は保釈中であり、身柄拘束を伴う未決勾留は存在しない。しかし、原判決はこの「1日」を大幅に超える「150日」を算入しており、その内149日分については現実に存在しない日数を算入したものといえる。
結論
現実に存在しない未決勾留日数を算入した原判決は、刑法21条の適用を誤った違法なものである。したがって、原判決のうち算入に関する部分は破棄されるべきである。
実務上の射程
本判決は、刑法21条の「算入」が事実上の身柄拘束期間に基づかなければならないことを明示している。司法試験においては、罪刑法定主義や適正手続の観点から、刑期の計算において裁判所が裁量により架空の日数を算入することの是非が問われた際に、本判決の法理を引用することができる。
事件番号: 昭和59(あ)189 / 裁判年月日: 昭和59年7月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を刑法21条により本刑に算入することは違法であり、仮出獄の取消しに伴う残刑執行期間中の勾留日数は算入の対象外となる。 第1 事案の概要:被告人は窃盗罪等で懲役3年に処され、仮出獄中の昭和58年4月に別件窃盗で勾留された。同年5月27日に前科の仮出獄が取り消され、同…