未決誤算入の原判決を判例違反として破棄した事例(反対意見がある)
刑法21条
判旨
検察官が控訴を申し立てた場合、その後の未決勾留日数は刑訴法495条2項1号により当然に全部本刑に通算されるため、裁判所には刑法21条による算入の裁量権はない。
問題の所在(論点)
検察官も控訴を申し立てた場合において、裁判所が刑法21条に基づき、未決勾留日数を裁量によって本刑に算入することができる範囲(刑訴法495条2項1号との関係)。
規範
検察官が控訴を申し立てた場合、その申立て後の未決勾留日数は、刑訴法495条2項1号の規定により、判決確定後の執行に際して当然に全部が本刑に通算される。したがって、控訴裁判所には当該日数を本刑に算入するか否かの裁量権はなく、刑法21条に基づき判決でその全部又は一部を本刑に算入する旨を言い渡すことはできない。
重要事実
被告人は第一審で懲役15年の判決を受け、被告人は昭和56年9月14日に、検察官は同月22日にそれぞれ控訴を申し立てた。原審(控訴審)は、被告人を引き続き勾留したまま審理を行い、控訴棄却の判決を言い渡す際、刑法21条を適用して原審における未決勾留日数のうち280日を本刑に算入する旨の裁判を行った。これに対し検察官が、裁量算入の限度を超えているとして上告した。
あてはめ
本件では検察官も控訴を申し立てているため、検察官の控訴申立日(9月22日)以降の未決勾留日数は、刑訴法495条2項1号により当然に通算されるべきものである。したがって、裁判所が刑法21条に基づき裁量で算入できるのは、被告人が控訴を申し立てた9月14日から、検察官が控訴を申し立てる前日の9月21日までの「8日間」に限られる。原審がこの限度を超えて280日を算入したことは、刑法21条の適用を誤ったものといえる。
事件番号: 昭和52(あ)1414 / 裁判年月日: 昭和53年4月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】検察官が控訴を申し立てた場合、その後の未決勾留日数は刑事訴訟法495条2項1号により当然に本刑へ通算される。したがって、裁判所には刑法21条に基づく裁量的算入の余地はなく、検察官の控訴申立以降の日数を判決で算入することは許されない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役7年の判決を受け、昭和51…
結論
原判決中、未決勾留日数を280日算入した部分は破棄を免れない。算入すべき日数は8日である。
実務上の射程
未決勾留日数の算入に関する実務上の限界を画した判例である。答案上は、検察官の上訴がある場合に刑法21条の裁量算入を認めることが「二重の算入」や「法の予定しない裁量」となり得ないよう、刑訴法495条との適用関係を整理する際に引用する。
事件番号: 昭和48(あ)1145 / 裁判年月日: 昭和48年11月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】検察官が上訴を申し立てた場合、その後の未決勾留日数は刑事訴訟法495条2項1号により当然に本刑へ通算される。したがって、裁判所には刑法21条に基づく算入の裁量は認められず、判決で算入の言渡しをすることはできない。 第1 事案の概要:被告人は殺人等の罪により第一審で懲役15年(未決勾留算入90日)の…
事件番号: 昭和51(あ)613 / 裁判年月日: 昭和51年7月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、現実に存在しない日数を含めて算入することは、同条の適用を誤った違法な裁判にあたる。 第1 事案の概要:被告人は第一審で無期懲役の判決を受け、控訴を申し立てた。控訴申立の日(昭和50年8月26日)から原審(控訴審)判決言渡しの前日(昭和51年3月14…