判例違反(未決過算入)を理由とした部分破棄自判
刑法21条
判旨
検察官が上訴を申し立てた場合、その後の未決勾留日数は刑事訴訟法495条2項1号により当然に本刑へ通算される。したがって、裁判所には刑法21条に基づく算入の裁量は認められず、判決で算入の言渡しをすることはできない。
問題の所在(論点)
検察官が控訴を申し立てた場合において、裁判所は刑法21条に基づき、その後の未決勾留日数を判決で裁量算入することができるか。
規範
検察官が上訴を申し立てた場合、上訴申立後の未決勾留日数は、刑事訴訟法495条2項1号により判決確定後の刑執行に際して当然に全日数が通算される。この場合、控訴裁判所には当該日数を本刑に通算するか否かの裁量権(刑法21条)は委ねられておらず、判決においてその全部または一部を本刑に算入する旨の言渡しをすることは許されない。
重要事実
被告人は殺人等の罪により第一審で懲役15年(未決勾留算入90日)の判決を受け、被告人は昭和39年7月15日に、検察官は同月28日にそれぞれ控訴を申し立てた。被告人は控訴審継続中の同年9月13日に逃走し、昭和48年に収監。原審は、被告人の控訴申立後から逃走までの未決勾留日数のうち、30日を裁量により本刑に算入する旨の言渡しを行った。
あてはめ
本件では検察官が控訴を申し立てている。検察官の控訴申立(昭和39年7月28日)後の未決勾留日数は、刑訴法495条2項1号に基づき法定通算の対象となるため、裁判所の裁量算入の余地はない。原審が算入の対象とできるのは、被告人のみが控訴を申し立てていた期間(同年7月15日から検察官の申立前日である同月27日までの13日間)に限定される。それにもかかわらず、原審がこれを超えて30日の算入を認めたことは、刑法21条の適用を誤ったものといえる。
事件番号: 昭和52(あ)1414 / 裁判年月日: 昭和53年4月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】検察官が控訴を申し立てた場合、その後の未決勾留日数は刑事訴訟法495条2項1号により当然に本刑へ通算される。したがって、裁判所には刑法21条に基づく裁量的算入の余地はなく、検察官の控訴申立以降の日数を判決で算入することは許されない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役7年の判決を受け、昭和51…
結論
検察官が上訴した期間の未決勾留は法定通算されるため、裁判所が判決で裁量算入することはできない。原判決のうち30日の算入を認めた部分を破棄し、適法な範囲である13日のみを本刑に算入する。
実務上の射程
未決勾留日数の算入について、刑法21条(裁量算入)と刑訴法495条(法定通算)の峻別を示す。答案上は、検察官上訴の有無により、裁判所が判決主文で言及すべき算入日数の範囲が制限されることを指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和57(あ)1371 / 裁判年月日: 昭和58年3月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】検察官が控訴を申し立てた場合、その後の未決勾留日数は刑訴法495条2項1号により当然に全部本刑に通算されるため、裁判所には刑法21条による算入の裁量権はない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役15年の判決を受け、被告人は昭和56年9月14日に、検察官は同月22日にそれぞれ控訴を申し立てた。原…
事件番号: 昭和61(あ)174 / 裁判年月日: 昭和63年3月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を、刑法21条に基づき本刑に算入することはできない。未決勾留日数の算入が許される限度は、勾留開始から別罪の刑の執行が開始される日の前日までである。 第1 事案の概要:被告人は殺人の事実により起訴・勾留されていたが、第一審判決後の控訴期間中に、以前言い渡されていた別…
事件番号: 平成25(あ)508 / 裁判年月日: 平成25年11月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】控訴審が被告人の控訴に基づき第1審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号により当然に全日本刑に通算されるため、刑法21条による算入の言渡しをすべきではない。 第1 事案の概要:被告人は覚せい剤取締法違反等の罪で起訴され、第1審で懲役3年及び罰金50万円の判決を受けた。…