勾留と競合して罰金刑の帰刑処分たる労役場留置の執行が行なわれた場合には、自由刑の執行が競合して行なわれた場合と同様、その勾留日数を刑法第二一条により本刑に算入することは違法と解すべきである(昭和二九年(あ)第三八九号同三二年一二月二五日大法廷判決、刑集一一巻一四号三三七七頁参照)。
未決勾留と労役場留置の執行とが競合する場合においてその未決勾留日数を本刑に裁定算入することの適否
刑法21条,刑法18条,刑訴法411条1号
判旨
勾留と罰金刑の換刑処分たる労役場留置が競合して執行された場合、その重複期間については刑法21条に基づき本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
未決勾留と労役場留置が競合して執行された場合、当該期間を刑法21条の「未決勾留の日数」として本刑に算入できるか。
規範
勾留と競合して罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執行が行われた場合には、自由刑の執行が競合して行われた場合と同様、実質的な刑の執行がなされているものと解される。したがって、その重複する勾留日数を刑法21条により本刑に算入することは違法である。
重要事実
被告人は第一審判決後、控訴審判決まで引き続き勾留されていた。しかし、その勾留期間中の昭和41年3月5日から同年4月25日までの間、別罪の罰金刑に係る換刑処分として労役場留置の執行を受けた。原審は、控訴審における未決勾留日数のうち90日を算入したが、検察官は労役場留置期間との重複を理由に上告した。
あてはめ
本件において、被告人が労役場留置を受けた期間(昭和41年3月5日〜4月25日)は、形式的には勾留状態にあるものの、実質的には別罪の刑の執行を受けている期間である。この期間は自由刑の執行と競合する場合と同等に扱うべきであり、刑法21条による算入の対象から除外されるべきである。記録上、原審の未決勾留期間から右労役場留置期間を除くと、算入可能な日数は80日となる。したがって、90日の算入を認めた原判決は、刑法21条の解釈適用を誤った違法がある。
結論
労役場留置と重なる期間を未決勾留日数として算入することはできず、適正な算入日数は80日である。原判決の算入部分は破棄を免れない。
実務上の射程
未決勾留日数の算入(刑法21条)に関する基本判例である。未決勾留の本質が「刑の執行ではない身体拘束」にあることから、労役場留置や他の確定判決に基づく自由刑の執行といった「実質的な刑の執行」と重複する期間は、二重の利益(刑の重複算入)を避けるため算入できないとする実務上の指針を示すものである。
事件番号: 昭和42(あ)1789 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】罰金刑の換刑処分としての労役場留置の執行と、同一事件に関する未決勾留が期間において競合する場合、当該未決勾留日数を刑法21条によって本刑に算入することはできない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役7年の宣告を受け、控訴した。控訴申立の日から控訴審判決前日までの間、被告人は引き続き勾留されてい…
事件番号: 平成4(あ)1180 / 裁判年月日: 平成5年4月13日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】罰金刑の換刑処分としての労役場留置の執行と競合する未決勾留日数は、刑法21条に基づき本刑に算入することはできない。 第1 事案の概要:被告人は暴力行為等処罰法違反等で勾留中、別罪(傷害罪)により罰金30万円に処せられた。その後、当該罰金刑の換刑処分として平成4年9月21日から労役場留置の執行が開始…