労役場留置の執行と競合する未決勾留日数を本刑に算入した原判決が破棄された事例
刑法21条
判旨
未決勾留と罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執行が競合した場合、その重複する期間を本刑に算入することは許されない。
問題の所在(論点)
未決勾留と罰金刑の換刑処分である労役場留置の執行が競合した場合に、その重複する日数を刑法21条により本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する場合、他の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間は、もはや「未決」の状態にあるとはいえず、その重複する部分を本刑に算入することは違法である。
重要事実
被告人は、窃盗罪の起訴前から第1審、第2審を通じて勾留されていた。一方で、被告人は別罪(犯人隠避罪)により罰金3万円に処せられており、当該裁判は昭和51年9月に確定した。本件の未決勾留期間中である昭和52年1月24日から同年2月22日までの間、右罰金刑の換刑処分としての労役場留置の執行が継続して行われたが、原審は当該期間分を含めた120日間を本刑に算入した。
あてはめ
被告人は昭和51年12月25日から昭和52年5月17日までの間、未決勾留の状態にあったが、そのうち30日間(昭和52年1月24日から2月22日まで)は、確定した罰金刑に基づく労役場留置の執行を受けていた。この30日間は、自由刑の執行に準ずる労役場留置によって身体を拘束されている期間であり、本件被告事件における純粋な未決勾留とはいえない。したがって、控訴申立日から原判決前日までの全日数から、労役場留置の執行日数を差し引いた114日のみが算入可能な未決勾留日数となる。これを超えて120日を算入した原判決は判例に違反する。
結論
未決勾留と労役場留置の執行が重複する場合、その重複日数を本刑に算入することはできず、原判決のうち算入超過分を破棄する。
実務上の射程
刑法21条の「未決勾留日数」の算入範囲に関する。実務上、被告人が別件の確定判決に基づく刑(自由刑や労役場留置)を執行されている期間は、たとえ当該事件の勾留状の効力が存続していても、その重複期間を未決勾留日数として算入することはできないという点に留意が必要である。
事件番号: 昭和45(あ)944 / 裁判年月日: 昭和45年11月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留の全期間が確定判決に基づく刑の執行と重複する場合には、その未決勾留日数を本刑に算入することはできない。刑法21条の適用において、既決刑の執行期間と重なる未決勾留は算入の対象外となる。 第1 事案の概要:被告人は窃盗罪(第一審)で勾留されていたが、これより以前に別の窃盗・傷害罪で懲役2年(執…