原審の未決算入に誤りがあり、判例違反として破棄された事例
刑法21条
判旨
未決勾留と罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執行が競合した場合、その重複する期間を本刑に算入することは許されない。
問題の所在(論点)
未決勾留日数の算入(刑法21条)において、他の刑の執行(労役場留置)と重なっている期間を算入できるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入において、未決勾留と罰金刑の換刑処分である労役場留置が並行して行われた場合には、その重複する期間については未決勾留日数の算入対象から除外される。
重要事実
被告人は窃盗罪で勾留中であったが、その期間内に、別罪(銃刀法違反、暴行罪)の確定判決に基づく罰金刑の換刑処分として、昭和48年11月17日から昭和49年1月10日まで労役場に留置された。原審は、この労役場留置期間を含む「原審における未決勾留日数」のうち160日を本刑に算入した。
あてはめ
労役場留置の執行期間(昭和48年11月17日〜昭和49年1月10日)は、性質上、本件の未決勾留と重複している。判例の趣旨に照らせば、このように他の刑の執行が行われている期間を未決勾留日数として本刑に算入することは違法である。したがって、算入が許される日数は、労役場留置終了の翌日である昭和49年1月11日から原判決言渡前日までの131日を限度とすべきである。
結論
労役場留置期間と重複する未決勾留日数を本刑に算入した原判決は判例に違反し、その範囲で破棄される。算入されるべき未決勾留日数は、重複期間を除いた日数(本件では110日)に更正される。
実務上の射程
刑法21条の「未決勾留日数」の解釈に関する基本判例である。実務上、被告人が別件で受刑中であったり労役場留置中であったりする場合、その期間は「未決の」勾留とは評価されず、本刑から差し引くことはできない。答案上は、二重の利益(刑の執行を受けながら未決算入も受けること)を否定する趣旨として理解し、算入対象期間の確定において用いる。
事件番号: 昭和59(あ)27 / 裁判年月日: 昭和59年3月29日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】懲役刑の執行と競合する未決勾留日数は、刑法21条に基づき本刑に算入することはできない。未決勾留日数の算入が許される限度は、他罪の刑の執行が終了した日の翌日から判決言渡の前日までの期間に限られる。 第1 事案の概要:被告人は窃盗罪等で第一審・第二審を通じて勾留されていたが、その勾留期間中に、別罪(住…