裁判の執行を受ける者の執行に関する異議の申立は、刑訴法502条により言渡をした裁判所にすべきところ、右にいわゆる言渡をした裁判所とは、執行すべき刑の言渡をした裁判所を指称すること明らかである(昭和二六年(す)第三二五号同年九月一三日第一小法廷決定、刑集五巻一〇号一九二六頁参照)。そして、本件被告事件については、昭和三八年三月十九日盛岡地裁において、懲役三年(未決四〇日通算・訴訟費用負担)の言渡をし、同三九年三月一三日仙台高裁において、控訴棄却(未決二七〇日通算・訴訟費用負担)、同四〇年六月四日当裁判所において、上告棄却(未決二五〇日通算・訴訟費用負担)の各言渡をしたものであるから、本件異議申立は、刑を言渡した盛岡地方裁判所に対してなすべきものである。
刑訴法第五〇二条にいう「言渡をした裁判所」の意義。
刑訴法502条
判旨
刑訴法502条にいう「言渡をした裁判所」とは、執行すべき刑の言渡をした裁判所を指す。控訴棄却や上告棄却の判決があった場合でも、刑を言い渡した第1審裁判所が異議申立ての相手方となる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法502条に基づき裁判の執行に関する異議を申し立てる際、上訴棄却判決を経て確定した場合の「言渡をした裁判所」は、刑を言い渡した第1審裁判所か、あるいは上訴棄却の裁判をした上訴裁判所か。
規範
刑事訴訟法502条が定める執行に関する異議の申立先である「言渡をした裁判所」とは、現に執行すべき刑の言渡をした裁判所を指称する。上訴裁判所が控訴・上告を棄却したにすぎない場合には、当該上訴裁判所はこれに当たらない。
重要事実
被告人は盛岡地方裁判所で懲役3年の言渡しを受け、その後、仙台高等裁判所での控訴棄却、最高裁判所での上告棄却の各判決を経て刑が確定した。被告人は、最高裁判所に対し、裁判の執行に関する異議の申立てを行った。
事件番号: 昭和29(す)488 / 裁判年月日: 昭和29年12月24日 / 結論: 棄却
裁判の執行を受ける者の執行に関する異議の申立は刑訴五〇二条により刑の言渡をした裁判所のすべきところ、右にいわゆる言渡をした裁判所とは執行をすべき刑の言渡をした裁判所を指称すること明らかである。そして本件被告事件については昭和二八年一〇月一六日長野地裁上田支部において懲役一年(未決勾留日数中三〇日に刑期に算入)、同二九年…
あてはめ
本件において、懲役3年という執行すべき刑の言渡しを行ったのは盛岡地方裁判所である。これに対し、仙台高等裁判所および最高裁判所が行ったのは控訴棄却および上告棄却の判決であり、いずれも自ら執行すべき刑を言い渡したものではない。したがって、法502条の「言渡をした裁判所」は盛岡地方裁判所であり、最高裁判所はこれに該当しないといえる。
結論
本件異議申立ては管轄違いにより不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事執行手続において、上訴審が破棄自判により自ら刑を言い渡さない限り、常に第1審裁判所が異議申立ての窓口となることを示した。実務上、上訴棄却決定後の異議申立先の誤りを防ぐための基礎的な判断枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和42(す)99 / 裁判年月日: 昭和42年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法502条にいう「裁判の言渡しをした裁判所」とは、執行すべき刑を言い渡した裁判所を指し、上告を棄却した最高裁判所はこれに含まれない。 第1 事案の概要:申立人は、欺詐被告事件について最高裁判所が上告棄却の決定をした後、最高裁判所に対し、裁判の執行に関する異議の申立てを行った。 第2 問題の…
事件番号: 昭和26(す)325 / 裁判年月日: 昭和26年9月13日 / 結論: 棄却
然し、裁判の執行を受ける者の執行に関する異議の申立は刑訴第五〇二条により刑の言渡をした裁判所にすべきところ、右にいわゆる言渡をした裁判所とは執行すべき刑の言渡をした裁判所を指称すること明らかである。そして本件被告事件については昭和二四年七月九日東京地裁に於て懲役六年(未決六〇日通算)の言渡をし、同二五年二月二七日東京高…
事件番号: 平成4(す)7 / 裁判年月日: 平成4年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法502条にいう「執行すべき刑の言渡しをした裁判所」に最高裁判所は含まれないため、最高裁判所に対する裁判の執行に関する異議の申立ては不適法である。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反等の被告事件について、最高裁判所から上告棄却の決定を受けた。これに対し、被告人は裁判の執行に関する異議の申…
事件番号: 昭和53(す)193 / 裁判年月日: 昭和53年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法502条に基づく裁判の執行に関する異議の申立は、執行すべき裁判の言渡しをした裁判所に対してなされるべきであり、上告を棄却した最高裁判所はこれに当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、強盗殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件について、最高裁判所が昭和53年7月28日…