上告棄却の判決に対し刑訴法五〇二条に基づく異議申立が不適法とされた事例
刑訴法502条
判旨
刑訴法502条に基づく裁判の執行に関する異議の申立は、執行すべき裁判の言渡しをした裁判所に対してなされるべきであり、上告を棄却した最高裁判所はこれに当たらない。
問題の所在(論点)
刑訴法502条に基づく「裁判の執行に関する異議の申立」を行うべき管轄裁判所はどこか。特に、上告棄却判決を下した最高裁判所が「執行すべき裁判の言渡をした裁判所」に含まれるかが問題となる。
規範
刑事訴訟法502条に規定される「執行すべき裁判の言渡をした裁判所」とは、原則として、被告事件の事実認定を行い、具体的な刑の言渡しを行った裁判所を指す。上告棄却判決は原判決を確定させる効果を持つに留まり、執行の対象となる実体的な刑を言渡した裁判には当たらない。
重要事実
申立人は、強盗殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件について、最高裁判所が昭和53年7月28日に下した上告棄却判決が確定した後、当該判決の執行に関して刑訴法502条に基づく異議の申立を最高裁判所に対して行った。
あてはめ
本件において申立人が異議を申し立てた対象は、実体的な刑の言渡しを含む下級審の裁判の執行に関わるものと考えられる。最高裁判所が下した判決は「上告棄却」であり、これは訴訟を終結させ原判決を確定させる手続的な裁判である。したがって、最高裁判所は、刑訴法502条が定める「執行すべき裁判の言渡をした裁判所」には該当しないといえる。
事件番号: 昭和42(す)99 / 裁判年月日: 昭和42年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法502条にいう「裁判の言渡しをした裁判所」とは、執行すべき刑を言い渡した裁判所を指し、上告を棄却した最高裁判所はこれに含まれない。 第1 事案の概要:申立人は、欺詐被告事件について最高裁判所が上告棄却の決定をした後、最高裁判所に対し、裁判の執行に関する異議の申立てを行った。 第2 問題の…
結論
最高裁判所は本件異議申立の管轄裁判所ではないため、申立は不適法であり棄却される。
実務上の射程
刑事手続法上の管轄の問題として、執行に関する異議申立先を誤らないための指針となる。実務上、上告棄却後の執行に関する不服は、第一審または控訴審のうち、執行対象となる刑を言渡した裁判所に対して申し立てる必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和40(す)175 / 裁判年月日: 昭和40年7月26日 / 結論: 棄却
裁判の執行を受ける者の執行に関する異議の申立は、刑訴法502条により言渡をした裁判所にすべきところ、右にいわゆる言渡をした裁判所とは、執行すべき刑の言渡をした裁判所を指称すること明らかである(昭和二六年(す)第三二五号同年九月一三日第一小法廷決定、刑集五巻一〇号一九二六頁参照)。そして、本件被告事件については、昭和三八…
事件番号: 昭和52(す)127 / 裁判年月日: 昭和52年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法502条に基づく裁判の執行に関する異議の申立ては、執行すべき裁判の言渡しをした裁判所に対してすべきであり、上告棄却決定をした最高裁判所はこれに当たらない。 第1 事案の概要:申立人は傷害被告事件において、最高裁判所から上告棄却決定を受け、同決定は昭和52年4月19日に確定した。その後、申立人…
事件番号: 平成4(す)7 / 裁判年月日: 平成4年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法502条にいう「執行すべき刑の言渡しをした裁判所」に最高裁判所は含まれないため、最高裁判所に対する裁判の執行に関する異議の申立ては不適法である。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反等の被告事件について、最高裁判所から上告棄却の決定を受けた。これに対し、被告人は裁判の執行に関する異議の申…
事件番号: 昭和57(す)168 / 裁判年月日: 昭和57年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法502条に規定される「刑の言渡をした裁判所」とは、執行すべき刑を実質的に決定した裁判所を指し、上告を棄却しただけの最高裁判所はこれに含まれない。 第1 事案の概要:申立人は、道路交通法違反等の被告事件について最高裁判所が上告棄却の決定をした後、当該裁判の執行に関して異議の申立て(刑訴法5…