執行に関する異議の申立を不適法とした事例
刑訴法502条
判旨
刑事訴訟法502条に規定される「刑の言渡をした裁判所」とは、執行すべき刑を実質的に決定した裁判所を指し、上告を棄却しただけの最高裁判所はこれに含まれない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法502条に基づき裁判の執行に関する異議を申し立てるべき先である「刑の言渡をした裁判所」に、上告棄却の決定をした最高裁判所が含まれるか。
規範
刑事訴訟法502条の「刑の言渡をした裁判所」とは、被告人に対し具体的な刑を言い渡した裁判所、すなわち執行の対象となる刑の裁判を行った裁判所を指す。上告棄却決定は、原判決を確定させる効果を持つに過ぎず、最高裁判所は自ら刑を言い渡した裁判所には該当しない。
重要事実
申立人は、道路交通法違反等の被告事件について最高裁判所が上告棄却の決定をした後、当該裁判の執行に関して異議の申立て(刑訴法502条)を最高裁判所に対して行った。本件は、最高裁判所が同条にいう「刑の言渡をした裁判所」に当たるかどうかが争点となった事案である。
あてはめ
刑事訴訟法502条に基づく異議の申立ては、執行すべき刑を言い渡した裁判所に対してなされるべきものである。本件において、最高裁判所は被告人の上告を棄却する決定をしたにとどまり、執行すべき刑そのものを自ら言い渡したわけではない。したがって、最高裁判所は「言渡をした裁判所」とは評価できず、同所に対する申立ては管轄を誤った不適法なものであると解される。
事件番号: 昭和57(す)167 / 裁判年月日: 昭和57年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告を棄却した最高裁判所は、刑事訴訟法501条に定める「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、道路交通法違反等の被告事件について、最高裁判所が昭和57年6月22日にした上告棄却決定に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の解釈を求める申立てを行った。 第2 問題の所在(…
結論
最高裁判所は刑事訴訟法502条にいう「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。したがって、本件異議の申立ては不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
裁判の執行に関する異議(刑訴法502条)の申立先を判断する際の基準を示す。上訴審が破棄自判して刑を言い渡した場合は別として、単に上訴を棄却して原判決を確定させたに過ぎない場合には、一審または二審の事実審裁判所が申立先となることを示唆している。
事件番号: 平成4(す)7 / 裁判年月日: 平成4年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法502条にいう「執行すべき刑の言渡しをした裁判所」に最高裁判所は含まれないため、最高裁判所に対する裁判の執行に関する異議の申立ては不適法である。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反等の被告事件について、最高裁判所から上告棄却の決定を受けた。これに対し、被告人は裁判の執行に関する異議の申…
事件番号: 昭和42(す)99 / 裁判年月日: 昭和42年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法502条にいう「裁判の言渡しをした裁判所」とは、執行すべき刑を言い渡した裁判所を指し、上告を棄却した最高裁判所はこれに含まれない。 第1 事案の概要:申立人は、欺詐被告事件について最高裁判所が上告棄却の決定をした後、最高裁判所に対し、裁判の執行に関する異議の申立てを行った。 第2 問題の…
事件番号: 昭和29(す)488 / 裁判年月日: 昭和29年12月24日 / 結論: 棄却
裁判の執行を受ける者の執行に関する異議の申立は刑訴五〇二条により刑の言渡をした裁判所のすべきところ、右にいわゆる言渡をした裁判所とは執行をすべき刑の言渡をした裁判所を指称すること明らかである。そして本件被告事件については昭和二八年一〇月一六日長野地裁上田支部において懲役一年(未決勾留日数中三〇日に刑期に算入)、同二九年…
事件番号: 昭和52(す)127 / 裁判年月日: 昭和52年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法502条に基づく裁判の執行に関する異議の申立ては、執行すべき裁判の言渡しをした裁判所に対してすべきであり、上告棄却決定をした最高裁判所はこれに当たらない。 第1 事案の概要:申立人は傷害被告事件において、最高裁判所から上告棄却決定を受け、同決定は昭和52年4月19日に確定した。その後、申立人…