特別抗告の理由は、すべて申立書自体にその内容を記載すべきであつて、抗告書又は抗告追加申立書の記載を援用することは許されない。
特別抗告の理由として抗告書又は抗告追加申立書の記載を援用することは許されるか。
刑訴法433条,刑訴規則274条
判旨
特別抗告の理由はすべて申立書自体に記載すべきであり、他の書面の援用は許されない。また、違憲を主張する場合は具体的な憲法違反の理由を明示しなければ適法な理由とはならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における特別抗告の理由の記載方法、および憲法違反を主張する場合に求められる具体性の程度が問題となる。
規範
1. 特別抗告の理由は、すべて申立書自体にその内容を記載すべきであり、抗告書や抗告追加申立書などの別個の書面の記載を援用することは許されない。2. 憲法違反を理由として申し立てる場合には、原決定のどの点が、いかなる理由により、憲法のどの条項に違反するかを具体的に示さなければならない。
重要事実
特別抗告人が原決定に対し、憲法違反等を理由として特別抗告を申し立てた事案。抗告人は申立書において具体的な違憲の理由を自ら記述せず、別紙や他の抗告書・抗告追加申立書の記載を援用する形をとった。
事件番号: 昭和53(し)38 / 裁判年月日: 昭和53年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求却下決定に対する特別抗告の申立て後に、本案である被告事件の裁判が確定した場合には、抗告の申立ては実益がなくなり不適法となる。 第1 事案の概要:恐喝被告事件に関し、被告人は保釈請求却下決定に対する異議申立棄却決定を受け、これに対して最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。しかし、その特別抗告の審…
あてはめ
本件において、所論は違憲をいう点を含んでいる。しかし、原決定の具体的ないかなる点が憲法のどの条項に違反するのかを具体的に示していない。また、特別抗告の理由は申立書自体に記載されるべきものであるところ、本件では抗告書等の記載を援用しており、適法な記載方法を欠いている。
結論
本件特別抗告は適法な理由を備えていないため、棄却される。
実務上の射程
刑事手続における特別抗告の形式的要件に関する判例である。答案上は、不服申立の適法性を論じる際、理由の具体的記載が必要であること、および他書面の援用が原則として許されないことを示す論拠として活用できる。
事件番号: 昭和49(し)40 / 裁判年月日: 昭和49年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条違反の主張が、原裁判所による記録精査の欠如という事実を前提とする場合、その前提事実が認められない限りは適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、原裁判所が記録を精査することなく異議申立てを棄却したと主張し、これを前提として憲法37条違反を訴え、本件抗告に至った。しかし、…
事件番号: 昭和57(し)34 / 裁判年月日: 昭和57年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べ請求却下決定に対する異議申し立てを棄却する決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:本件は、裁判所が行った証拠調べ請求の却下決定に対し、被告人側が異議を申し立てた事案である。原決定(…
事件番号: 昭和28(し)31 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新制限規定の適用有無に関する憲法違反の主張は、実質的に単なる法令違反の主張にすぎず、特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、禁錮以上の刑に処する判決があった後の勾留につき、刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新の制限規定(※旧法下における更新回数制限等…
事件番号: 昭和25(し)66 / 裁判年月日: 昭和26年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、裁判所の組織構成において偏頗の恐れがないことを意味し、個別の事件で被告人に不利益な裁判がなされたことのみをもって直ちに同条項違反とはならない。 第1 事案の概要:被告人は恐喝等被告事件において保釈を許可されていたが、前橋地方裁判所太田支部は、被告人が保…