控訴審がした保釈請求却下決定に対して高等裁判所がした異議申立棄却決定に対し、特別抗告の申立があつた後、被告人が控訴を取下げたことにより当該被告事件が確定した場合の特別抗告の処理(不適法棄却)
判旨
保釈請求却下決定に対する特別抗告の申立て後に、本案である被告事件の裁判が確定した場合には、抗告の申立ては実益がなくなり不適法となる。
問題の所在(論点)
保釈請求却下決定に対する不服申立て(特別抗告)の継続中に、被告事件の本案判決が確定した場合、当該抗告申立ての適法性にどのような影響を及ぼすか。
規範
保釈は、被告事件の係属を前提として身体拘束を解く制度であるため、本案の被告事件が裁判の確定により終了した場合には、保釈の可否を争う実益は消滅し、抗告は不適法(利益なし)として棄却される。
重要事実
恐喝被告事件に関し、被告人は保釈請求却下決定に対する異議申立棄却決定を受け、これに対して最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。しかし、その特別抗告の審理中に、被告人自身が控訴を取り下げたことにより、本案である被告事件の有罪判決が確定した。
あてはめ
本件において、申立人は保釈の可否を最高裁で争っていたが、その後自ら控訴を取り下げている。この控訴取下げにより、刑事訴訟手続上の被告事件は確定して終了した。保釈は未確定の被告人を対象とする制度であるから、本案確定により身体拘束の性質が既決の拘禁へと移行し、もはや保釈を認める余地はなくなった。したがって、抗告を維持して審理を継続する必要性(申立ての実益)は失われたといえる。
結論
本件特別抗告の申立ては、実益を欠き不適法であるため、棄却される。
事件番号: 昭和43(し)65 / 裁判年月日: 昭和43年9月11日 / 結論: 棄却
勾留中の被告人がその事件につき実刑の有罪判決を受けこれが確定したときは、もはや保釈の問題を生じない。
実務上の射程
保釈、勾留、接見禁止などの身体拘束に関する不服申立て全般に共通する法理であり、抗告の裁判がなされる前に本案が確定、あるいは勾留期間が満了した場合には「訴えの利益」を欠くものとして扱われる。答案上は、手続的要件(抗告の利益)の有無を検討する際に、本案の進行状況を確認する根拠として活用する。
事件番号: 昭和40(し)39 / 裁判年月日: 昭和40年6月14日 / 結論: 棄却
特別抗告の理由は、すべて申立書自体にその内容を記載すべきであつて、抗告書又は抗告追加申立書の記載を援用することは許されない。
事件番号: 昭和26(し)85 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求却下の決定に対する特別抗告中に本案判決が確定した場合、保釈の余地がなくなるため、抗告の理由について裁判をする実益(訴えの利益)は失われる。 第1 事案の概要:被告人Aは横領被告事件について勾留されており、これに対し保釈請求を行った。新潟地方裁判所は保釈請求却下決定を下し、これに対する取消申…
事件番号: 昭和25(し)66 / 裁判年月日: 昭和26年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、裁判所の組織構成において偏頗の恐れがないことを意味し、個別の事件で被告人に不利益な裁判がなされたことのみをもって直ちに同条項違反とはならない。 第1 事案の概要:被告人は恐喝等被告事件において保釈を許可されていたが、前橋地方裁判所太田支部は、被告人が保…
事件番号: 昭和27(し)44 / 裁判年月日: 昭和29年1月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求却下決定に対する不服申立ての継続中に、別個の決定により保釈が許可され被告人が釈放された場合には、当該不服申立てについて裁判をする実益が消滅する。 第1 事案の概要:被告人Aの収賄被告事件において、地方裁判所支部が保釈請求を却下した。これに対し弁護人が準抗告を申し立てたが棄却されたため、さら…