判旨
法定刑の最高額を超過する罰金を科した略式命令は、法令に違反し、かつ被告人のため不利益であることが明白であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
確定した略式命令において、当時の法定刑の最高額(25,000円)を超える罰金(30,000円)が科されている場合、非常上告の理由となる法令違反および被告人への不利益が認められるか。
規範
確定判決(略式命令を含む)において、実刑が法定刑の範囲を超えて科されている場合、当該判決は法令に違反し、かつ被告人にとって不利益であることが明白であると判断される(刑訴法458条1号但書)。
重要事実
被告人は傷害の事実により札幌簡易裁判所から罰金30,000円の略式命令を受け、同命令は昭和39年11月27日に確定した。しかし、当時の刑法204条および罰金等臨時措置法3条1項1号に照らすと、傷害罪の罰金刑の最高限度は25,000円であった。
あてはめ
傷害罪の罰金刑の法定上限は25,000円である。本件略式命令はこれを超過する30,000円を科しており、罪刑法定主義の観点からも許容されない。したがって、当該命令は法令に違反しており、かつ法定刑以上の刑を科されている点において、被告人のため不利益であることは明白であるといえる。
結論
原略式命令を破棄する。被告人を罰金25,000円に処する。
実務上の射程
非常上告(刑訴法454条以下)において、法令違反が被告人に不利益である場合の処理を示す典型例。答案上は、罪刑法定主義や適正手続の観点から、法定刑を逸脱した判決の是正の必要性を述べる際に参照される。
事件番号: 昭和39(さ)10 / 裁判年月日: 昭和40年3月4日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】傷害罪の罰金刑の最高額が当時2万5000円であったにもかかわらず、これを超過して3万円を科した略式命令は、法令に違反し被告人に不利益である。したがって、非常上告に基づき原命令を破棄し、法定刑の範囲内である罰金2万5000円の自判を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害被告事件につき、…
事件番号: 昭和56(さ)2 / 裁判年月日: 昭和56年4月30日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】傷害罪の罰金法定刑の最高額が10万円であるにもかかわらず、これを超過して被告人を罰金20万円に処した略式命令は、法令に違反し、かつ被告人に不利益であるため、非常上告により破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和54年10月16日、被害者に対し手拳で殴打する等の暴行を加え、加療約2週間…
事件番号: 昭和41(さ)3 / 裁判年月日: 昭和41年6月28日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】法定刑の最高限度を超えて罰金を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益な裁判にあたるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害の事実により、福岡簡易裁判所から罰金4万円の略式命令を受け、これが確定した。しかし、当時の刑法204条および罰金等臨時措置法3条1項…
事件番号: 昭和43(さ)1 / 裁判年月日: 昭和43年6月14日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】裁判所が傷害罪の法定刑(罰金)の上限を超えて罰金刑を科した略式命令は、法令に違反し、かつ被告人の不利益になるため、非常上告の手続きにおいて破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害被告事件につき、昭和41年8月4日付の略式命令により罰金3万円に処せられ、同年8月23日に確定した。しかし…