判旨
裁判所が傷害罪の法定刑(罰金)の上限を超えて罰金刑を科した略式命令は、法令に違反し、かつ被告人の不利益になるため、非常上告の手続きにおいて破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
確定した略式命令が、当時の法令で定められた法定刑の最高限度額を超える罰金を科していた場合における法令適用の適否、および非常上告による救済の要否が問題となる。
規範
裁判所が確定した刑事判決において、法律が定める法定刑の最高額を超過する刑を科した場合は、法令違反にあたるとともに被告人の不利益に該当する。この場合、刑事訴訟法458条1号但書に基づき、原判決を破棄して自判すべきである。
重要事実
被告人は傷害被告事件につき、昭和41年8月4日付の略式命令により罰金3万円に処せられ、同年8月23日に確定した。しかし、当時の刑法204条および罰金等臨時措置法3条1項1号の規定によれば、傷害罪の罰金の法定上限額は2万5000円であった。
あてはめ
傷害罪の法定刑上限が2万5000円であるにもかかわらず、原略式命令が被告人を罰金3万円に処したことは、明白に法令に違反する。また、法定上限を超える刑を科すことは、被告人にとって明らかに不利益な状況をもたらしているといえる。
結論
法令に違反し被告人に不利益な原略式命令を破棄する。確定した傷害の事実に対し、法定刑の範囲内で被告人を罰金2万5000円に処す。
実務上の射程
本判決は、非常上告(刑訴法454条以下)において「事件の審判が法令に違反したとき」かつ「被告人のため不利益なとき」の典型例(法定刑徒過)を示すものである。答案上では、確定判決の誤りを是正する特別訴訟手続の要件充足性を検討する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和41(さ)3 / 裁判年月日: 昭和41年6月28日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】法定刑の最高限度を超えて罰金を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益な裁判にあたるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害の事実により、福岡簡易裁判所から罰金4万円の略式命令を受け、これが確定した。しかし、当時の刑法204条および罰金等臨時措置法3条1項…
事件番号: 昭和40(さ)3 / 裁判年月日: 昭和40年7月9日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】法定刑の最高額を超過する罰金を科した略式命令は、法令に違反し、かつ被告人のため不利益であることが明白であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害の事実により札幌簡易裁判所から罰金30,000円の略式命令を受け、同命令は昭和39年11月27日に確定した。しかし、…
事件番号: 昭和39(さ)10 / 裁判年月日: 昭和40年3月4日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】傷害罪の罰金刑の最高額が当時2万5000円であったにもかかわらず、これを超過して3万円を科した略式命令は、法令に違反し被告人に不利益である。したがって、非常上告に基づき原命令を破棄し、法定刑の範囲内である罰金2万5000円の自判を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害被告事件につき、…