判旨
被告人らの供述調書の任意性を疑うべき証跡が認められない場合、その取り調べに違憲の違法はなく、また、第一審が証拠として採用していない録音テープの証拠調手続の違法を理由とする違憲主張は前提を欠く。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上、被告人の供述調書の任意性が否定されるべき事情がない場合に、その証拠能力を認めることの是非。および、第一審判決で証拠として採用されていない資料の証拠調べ手続の違法を理由に、憲法違反を主張することの可否。
規範
被告人の自白を録取した供述調書については、その成立に任意性を疑うべき証跡が認められない限り、証拠能力を認めることができる。また、上告審において憲法違反を主張する場合、当該証拠が事実認定の基礎とされていることを要し、第一審判決が有罪認定の証拠として供していない証拠の収集・調査手続の違法を主張することは、前提を欠くものとして認められない。
重要事実
被告人らに対し、検察官作成の供述調書および録音テープが証拠として提出された事案。被告人側は、供述調書の任意性、および録音テープの証拠調べ手続の違法性を理由に、憲法違反および訴訟法違反を主張して上告した。しかし、第一審判決の判文上、当該録音テープは被告人らに対する有罪認定の証拠として供されていなかった。
あてはめ
本件における供述調書について、記録を精査してもその任意性を疑うべき証跡は認められない。したがって、証拠能力に問題はなく、これに基づく事実認定は適法である。また、録音テープについては、第一審判決がこれを有罪認定の証拠に供していないことが判文上明らかである。証拠として採用されていない以上、その証拠調べに違法があるとの主張は、判決の結論に影響を及ぼし得る憲法違反の主張としての前提を欠くといえる。
結論
被告人らの上告には刑訴法405条所定の上告理由がなく、棄却を免れない。
実務上の射程
自白の任意性と違憲主張の関連性に関する判例。答案上は、証拠能力の議論において任意性が肯定される基準を示す際や、上告理由の「前提」として当該証拠が有罪認定に寄与している必要性を論じる際に参照し得る。
事件番号: 昭和30(あ)1822 / 裁判年月日: 昭和30年10月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人や共犯者等の供述調書が強制に基づいて作成されたという事実が認められない場合には、自白の任意性を否定すべき憲法違反の主張は前提を欠き、証拠能力を認めることができる。 第1 事案の概要:被告人の司法警察員及び検察官に対する各供述調書、共犯者等の検察官に対する各供述調書について、第一審判決が犯罪事…