判旨
道路運送法における事業の許可制および無許可営業に対する罰則規定は、公共の福祉に基づく正当な制限であり、憲法14条および22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
道路運送法による自動車運送事業等の許可制(4条〜6条の2)および無許可営業に対する刑罰規定(128条の3)が、憲法14条および22条1項に違反し違憲とならないか。
規範
職業選択の自由(憲法22条1項)は絶対無制限ではなく、公共の福祉のために必要な場合には、合理的な範囲内で制限を受ける。特に、一般公衆の安全や利便に直結する事業の規制においては、その目的が公共の福祉に合致し、手段が著しく不合理でない限り、合憲と判断される。
重要事実
被告人が道路運送法に基づく許可を受けずに、同法4条ないし6条の2等に規定される事業(自動車運送事業等)を行ったとして、同法128条の3第2号に基づき処罰された事案。弁護人は、これらの規定が法の下の平等(憲法14条)および職業選択の自由(憲法22条1項)に違反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、先行する大法廷判決(昭和38年12月4日判決等)の趣旨を引用し、本件各規定が公共の福祉に基づく合理的な制限であると判断した。道路運送事業の秩序を維持し、利用者の安全と利便を確保するという目的は公共の福祉に合致し、その手段として許可制を採り、違反者に刑罰を科すことは、著しく不合理な制限とはいえない。また、特定の事業形態に許可を求めることが不合理な差別にあたるとも解されない。
結論
道路運送法の許可制および罰則規定は憲法14条、22条1項に違反せず合憲である。したがって、被告人の上告は棄却される。
実務上の射程
消極的目的(安全確保等)に基づく職業の許可制に関する合憲性判断の先例として活用できる。答案上は、職業の自由に対する「強力な制限」である許可制であっても、公共の福祉に基づく合理的な目的と手段の関連性が認められる場合には合憲とされることの論拠となる。
事件番号: 昭和38(あ)3211 / 裁判年月日: 昭和40年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法に基づく自家用自動車の有償運送禁止規定は、憲法22条1項に違反しない。また、行政当局の免許処分に適正を欠く点があったとしても、無免許営業等の違法性や責任が直ちに阻却されるものではない。 第1 事案の概要:被告人らは、道路運送法に基づく許可等を受けずに自家用自動車を用いた有償運送等を行った…
事件番号: 昭和62(あ)588 / 裁判年月日: 昭和62年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法における一般旅客自動車運送事業の許可制は、職業の自由を制限するものであるが、公共の福祉に適合するものとして憲法22条1項に違反しない。いわゆる白タク営業の禁止規定を適用することは合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、道路運送法4条1項に基づく一般旅客自動車運送事業の許可を受けずに、自…