所論の道路運送法の各規定が、所論の憲法の規定に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和三五年(あ)第二八五四号同三八年一二月四日大法廷判決、刑集一七巻一二号二四三四頁)の趣旨にてらし明らかである。
道路運送法第四条ないし第六条の二および第一〇一条第一項の合憲性
道路運送法4条の2,道路運送法6条の2,道路運送法101条1項,憲法22条1項
判旨
道路運送法の許可制規定は、公共の福祉による経済的自由の制限として、憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
道路運送法が定める事業の許可制等の規定が、憲法22条1項の保障する職業の自由(営業の自由)を侵害し違憲となるか。
規範
職業の自由に対する公権力の規制が憲法22条1項に適合するか否かは、規制の目的が公共の福祉に合致し、かつその手段が目的達成のために必要かつ合理的であるかによって判断される。
重要事実
被告人が道路運送法に基づき必要な許可を得ることなく運送事業を行った行為が、同法違反として起訴された。これに対し、弁護人は道路運送法の各規定が営業の自由を侵害し憲法に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、先行する大法廷判決(昭和38年12月4日)の趣旨を引用し、道路運送法の規定が公共の福祉に基づく合理的な制限の範囲内にあることを示唆した。具体的には、公共の安全や秩序の維持、事業の適正な運営を確保するという公益的目的があり、許可制はその手段として不合理ではないと解される。
結論
道路運送法の各規定は憲法22条1項に違反しない。したがって、被告人らの上告を棄却する。
実務上の射程
経済的自由権(職業の自由)の制限に関する初期の判例であり、目的二分論(薬事法判決)以前の枠組みを示す。答案上は、許可制が「公共の福祉」による制限として許容される一般的な根拠として言及できるが、現代の答案作成においては、より詳細な違憲審査基準(厳格な合理性の基準等)を検討する際の出発点として位置づけるべきである。
事件番号: 昭和39(あ)979 / 裁判年月日: 昭和40年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法における事業の許可制および無許可営業に対する罰則規定は、公共の福祉に基づく正当な制限であり、憲法14条および22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が道路運送法に基づく許可を受けずに、同法4条ないし6条の2等に規定される事業(自動車運送事業等)を行ったとして、同法128条の3第…
事件番号: 昭和62(あ)588 / 裁判年月日: 昭和62年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法における一般旅客自動車運送事業の許可制は、職業の自由を制限するものであるが、公共の福祉に適合するものとして憲法22条1項に違反しない。いわゆる白タク営業の禁止規定を適用することは合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、道路運送法4条1項に基づく一般旅客自動車運送事業の許可を受けずに、自…