道路運送法四条一項、一二八条一号を適用しても憲法二三条一項に違反しないとされた事例
憲法22条1項,道運法4条1項,道運法128条1号
判旨
道路運送法における一般旅客自動車運送事業の許可制は、職業の自由を制限するものであるが、公共の福祉に適合するものとして憲法22条1項に違反しない。いわゆる白タク営業の禁止規定を適用することは合憲である。
問題の所在(論点)
道路運送法4条1項が定める一般旅客自動車運送事業の許可制、および同法128条1号による処罰規定が、憲法22条1項の保障する職業選択の自由を侵害し違憲とならないか。
規範
職業の自由に対する制限が、公共の福祉のために必要かつ合理的な範囲内にとどまるか否かは、制限の目的、必要性、内容、制限によって失われる自由の性質と社会的意義を比較衡量して決すべきである。特に、交通安全の確保や運送サービスの適正な提供といった国民の生命・身体に関わる公共の利益を目的とする場合は、その立法裁量を尊重しつつ、合理的な制限といえるかを判断する。
重要事実
被告人が、道路運送法4条1項に基づく一般旅客自動車運送事業の許可を受けずに、自家用自動車を用いて有償で旅客を運送した(いわゆる白タク行為)。この行為が同法128条1号(当時の罰則規定)に問われた際、弁護人は同法による規制が職業選択の自由(憲法22条1項)を侵害する違憲なものであると主張して上告した。
あてはめ
道路運送事業における許可制は、輸送の安全を確保し、利用者の利益を保護するとともに、事業の適正な運営を期することを目的としている。このような目的は公共の福祉に合致する正当なものであり、その手段として許可制を採用することは、合理的かつ必要不可欠な制限であると認められる。先行する大法廷判決(昭和38年12月4日)の趣旨に照らせば、本件の事業規制も公共の福祉による正当な制限の範囲内にあるといえる。
結論
道路運送法4条1項、128条1号の規定は憲法22条1項に違反しない。したがって、許可を受けずに営業を行った被告人を処罰することは合憲である。
実務上の射程
本判決は、いわゆる「積極目的・消極目的」の区別を詳細に論じる前の判例体系に属するが、経済的自由(職業の自由)への制限が、公共の福祉(特に安全確保等)の観点から合憲とされる基準を確認するものである。答案上は、許可制が「消極的・警察的制限(安全確保等)」としての側面を有することに注目し、手段の適合性・必要性が認められやすい事例として引用すべきである。
事件番号: 昭和44(あ)76 / 裁判年月日: 昭和45年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法に基づく一般乗合旅客自動車運送事業の免許制、および無免許営業を処罰する規定は、憲法22条1項の保障する職業選択の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、道路運送法4条1項に基づく免許を受けずに、一般乗合旅客自動車運送事業(バス事業等)を経営したとして、同法128条1号に…
事件番号: 昭和39(あ)979 / 裁判年月日: 昭和40年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法における事業の許可制および無許可営業に対する罰則規定は、公共の福祉に基づく正当な制限であり、憲法14条および22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が道路運送法に基づく許可を受けずに、同法4条ないし6条の2等に規定される事業(自動車運送事業等)を行ったとして、同法128条の3第…