自動車運送事業の経営の全面的な免許制が憲法第一三条、第二二条の各規定に違反するものでないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和三五年(あ)第二八五四号同三八年一二月四日判決)の趣旨に徴し明らかである。
自動車運送事業の経営の全面的な免許制の合憲性。
道路運送法1条,道路運送法2条,道路運送法4条,道路運送法128条1号,憲法13条,憲法22条
判旨
道路運送法が自動車運送事業の経営を全面的に免許制としていることは、憲法22条1項の職業選択の自由および憲法13条に違反しない。
問題の所在(論点)
道路運送法が、自動車運送事業の経営を全面的に免許制としている点は、憲法22条1項の「職業選択の自由」および憲法13条に抵触し、違憲とならないか。
規範
職業選択の自由(憲法22条1項)に対する制限は、公共の福祉のために必要かつ合理的な範囲内であれば許容される。特に経済活動の規制については、立法府の政策的判断が尊重されるべきであり、その規制目的が正当であり、かつ手段が著しく不合理でない限り、合憲と解される(最大判昭38・12・4参照)。
重要事実
被告人が、道路運送法に基づく免許を受けることなく自動車運送事業を経営したとして、同法違反に問われた事案。弁護人は、道路運送法が自動車運送事業の経営を全面的に免許制としていることは、憲法13条および22条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
自動車運送事業は公共性の高い事業であり、輸送の安全確保や事業の適正な運営を期する必要がある。本判決は詳細な論証を省いているが、先行する大法廷判決(最大判昭38・12・4)を引用し、当該事業の適正な運営を確保するために経営を免許制とすることは、公共の福祉に基づく合理的な制限であると判断している。したがって、憲法13条や22条が保障する人権を不当に侵害するものとはいえない。
結論
道路運送法による自動車運送事業の免許制は合憲であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は先行する大法廷判決を維持し、強力な職業制限である「免許制」が一定の事業において合憲であることを再確認したものである。答案上では、許可制や免許制の合憲性を論ずる際、目的二分論(本件は社会経済的規制)を前提に、公共の福祉による合理的制限の枠組みを示すための判例として活用できる。
事件番号: 昭和39(あ)979 / 裁判年月日: 昭和40年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法における事業の許可制および無許可営業に対する罰則規定は、公共の福祉に基づく正当な制限であり、憲法14条および22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が道路運送法に基づく許可を受けずに、同法4条ないし6条の2等に規定される事業(自動車運送事業等)を行ったとして、同法128条の3第…