判旨
歩道と車道の区別がある道路における「道路の左側端」とは、外観上歩道と車道を区画する工作物や電柱、標識等の配置から客観的に判断されるべきであり、その線に沿った駐車は道路交通法48条1項に適合する。
問題の所在(論点)
道路交通法48条1項(現行47条2項)所定の駐車方法に関し、縁石等の工作物が摩滅・欠落している場所において、いかなる状態を「道路の左側端」と解すべきか。
規範
道路交通法48条1項(現行47条2項)にいう「道路の左側端」とは、単に舗装の有無や縁石の現存のみで決まるのではなく、付近の交差点にある縁石、電柱、道路標識等の設置状況から、客観的・外観的に歩道と車道が区別される境界線を指す。この境界線に沿って駐車し、かつ他の交通の妨害とならない状態であれば、同条項の義務を尽くしたものと解する。
重要事実
被告人は、幅員約4.5メートルの舗装部分と約6メートルの非舗装部分(工作物なし)からなる道路の非舗装部分に、左側面を下水溝から約4メートル離して駐車した。当該場所には縁石等の直接的な工作物はなかったが、その北側約40メートルの交差点および南側の角には歩車道を区画する縁石が存在していた。また、その両縁石を結ぶ直線上には電柱や一時停止標識が立ち並んでおり、道路台帳上も歩車道の区別がある道路とされていた。
あてはめ
本件場所付近では、南北の縁石およびそれらを結ぶ線上に並ぶ電柱や標識の存在により、外観上、歩道と車道を区別する区画線を認識しうる状況にあった。被告人が駐車した位置は、これら客観的な指標から導き出される車道左側端の区画線にほぼ沿ったものであったといえる。したがって、非舗装部分の端(下水溝)まで寄せなかったとしても、客観的な車道左側端に沿ったものと評価される。
結論
被告人の駐車措置は、道路の具体的状況に照らし、道路交通法48条1項にいう道路の左側端に沿ったものといえ、同条違反の罪は成立しない。
実務上の射程
行政法上の道路の定義や、道交法上の車両通行帯・歩車道区別の認定において、現存する工作物だけでなく、周囲の状況(電柱・標識・離れた地点の縁石)から客観的に境界を認定する際の判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和40(さ)7 / 裁判年月日: 昭和40年2月22日 / 結論: 破棄自判
道路交通法第四四条中、本件に適用されたのは三号であるが、同号には「横断歩道の手前の側端から前に五米以内の部分」とあつて、横断歩道の手前のみの駐車が禁止されているにすぎず、横断歩道を通過した先は、横断歩道の側端から五米以内の地点であつても、この規定の駐車禁止の対象とはなつていない。