公道に面する南側において約一九・六米、川に接している北側において約一四・一米、南北約四七米のくさび型の全面舗装された広場で、そのうち東側および西側部分には、自動車一台ごとの駐車位置を示す区画線がひかれ、南側入口には、県立無料駐車場神奈川県と大書された看板があつて、その広場の全体が自動車の駐車のための場所と認められる場合においては、駐車位置区画線のない中央部分も、駐車場の一部として、該駐車場を利用する車両のための通路にすぎず、これをもつて道路交通法上の道路と解すべきものではない。
道路交通法二条一号の道路にあたらないとされた事例
道路交通法2条1号
判旨
道路交通法上の「道路」とは、不特定多数の者や車両が自由に通らなければならず、駐車場内の通路部分はあくまで駐車目的の車両の通行に供されるにすぎないため、原則として道路に該当しない。ただし、駐車場から公道へ進出する際には、一時停止や徐行等による安全確認義務が認められる。
問題の所在(論点)
駐車場の通路部分が道路交通法2条1号の「一般交通の用に供するその他の場所」として、同法上の「道路」に該当するか。また、道路に該当しない場合に被告人の過失を肯定できるか。
規範
道路交通法2条1号にいう「一般交通の用に供するその他の場所」とは、不特定多数の者や車両が自由に通行できる場所を指す。駐車場のように、全体の形状や看板の表示から自動車の駐車を目的とした広場であると認められる場所は、その中央部分が車両の通行に利用されていても、駐車場を利用する車両のための通路にすぎず、同法上の「道路」には該当しない。
重要事実
被告人は、県立の無料駐車場内から公道へ横断進出しようとした際、公道を進行してきた車両と衝突し、同乗者を負傷させた。当該駐車場は全面舗装されたくさび型の広場であり、東西に駐車区画線が引かれ、南側入口には駐車場である旨の看板が設置されていた。原審は、駐車場の通路部分を不特定の車両や隣接ホテル客が通行していることを理由に「道路」と認定し、道路上の過失を前提に被告人を処罰した。
あてはめ
本件駐車場は、看板や区画線の存在から全体が駐車のための場所と認められる。中央部分は駐車車両の通路にすぎず、ホテル利用客等の通行は一部の者による事実上の利用にとどまるため、不特定多数が自由に通行する「一般交通の用」に供されているとはいえない。したがって、本件駐車場内は「道路」に該当しない。もっとも、被告人は駐車場から公道に出るに際し、公道を進行する車両に対する一時停止や徐行、左右の安全確認を行うべき注意義務を負うところ、これを怠った以上、被告人には過失が認められる。
結論
本件駐車場中央部分は「道路」ではないが、駐車場から公道に出る際の安全確認義務を怠った被告人の過失を認めた原判断は、結論において正当である。
実務上の射程
道路交通法上の「道路」概念の限定を示す。駐車場や私有地が「道路」にあたるかは、客観的な設置目的や不特定多数の通行の有無で厳格に判断される。答案上は、事故現場が道路外であっても、道路へ進入する際の一般的注意義務を肯定することで、過失認定を導く論理として活用できる。
事件番号: 昭和42(あ)2933 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 棄却
道路交通法第二条第五号(交差点の定義)にいう道路の交わる部分とは、本件のように、車道と車道とが交わる十字路の四つかどに、いわゆるすみ切りがある場合には、各車道の両側のすみ切り部分の始端を結ぶ線によつて囲まれた部分(判文参照)をいうものと解するのが相当である。
事件番号: 昭和48(あ)845 / 裁判年月日: 昭和49年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】交通事故における業務上過失致死傷罪の成否に関し、一時停止義務および左右の安全確認義務を怠った事実が認められる場合には、交差道路の広狭に関わらず過失の成立が認められる。 第1 事案の概要:被告人が自動車を運転中、交差点において一時停止の義務があったにもかかわらずこれを怠り、かつ左右道路の交通の安全を…