判例違反の主張が事案を異にし不適法とされた事例(信頼の原則に関するもの)
判旨
交差点での右折に際し、あらかじめ道路の中央に寄らず、かつ交差点の中心の直近の内側を走行せずに、一旦道路の左側に寄ってから右折を開始する行為は、道路交通法上の右折方法違反に該当する。
問題の所在(論点)
道路交通法が定める右折方法に違反するか。特に、あらかじめ道路の中央に寄らず、かつ交差点の中心の直近内側を通過せずに、左側に寄ってから右折を開始する行為の適法性が問題となる。
規範
車両が交差点で右折する際は、あらかじめ道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側を徐行しなければならない(道路交通法34条2項参照)。この義務は、右折車両の進路を明確にすることで後続車や対向車との接触を防止し、交通の安全と円滑を図る点にある。
重要事実
被告人は、交差点において自動車を運転して右折しようとした際、あらかじめ道路の中央に寄ることをしなかった。さらに、交差点の中心の直近の内側から右折を開始すべきところ、これを行わず、逆に一旦道路の左側に寄った状態から右折を開始した。
あてはめ
本件において、被告人は右折にあたり道路中央への事前接近を怠っている。また、交差点の中心直近内側を通行するという法定の経路を逸脱し、あえて道路左側に寄ってから右折を開始している。このような走行形態は、後続車両等に左折や直進の誤認を与えかねず、道路交通法が予定する安全な右折方法を著しく逸脱するものと評価される。
結論
被告人の行為は、道路交通法所定の右折方法に違反する。したがって、右折方法違反の成立を認めた原判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
道路交通法上の右折方法(34条2項)の遵守義務の態様を具体的に示したもの。特に、大型車等で便宜的に左に膨らんで右折するような走行(いわゆる「あおりハンドル」等)が、交通法規上の義務違反を構成することを理論づける際に活用できる。
事件番号: 昭和45(あ)689 / 裁判年月日: 昭和46年9月28日 / 結論: 棄却
道路交通法三七条二項にいう「既に右折している車両等」とは、単に右折中であるというだけでは足りず、右折を完了している状態またはそれに近い状態にある車両等をいう。