原判決の結論に影響のない事項について判例違反をいう主張にあたるとして処理された事例
判旨
交通事故における業務上過失致死傷罪の成否に関し、一時停止義務および左右の安全確認義務を怠った事実が認められる場合には、交差道路の広狭に関わらず過失の成立が認められる。
問題の所在(論点)
一時停止義務および安全確認義務の懈怠が認められる事案において、交差する道路の広狭という事実が、業務上過失致死傷罪の成否に影響を及ぼすか。
規範
業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)における注意義務違反の有無は、具体的な状況下で事故を回避するために必要な措置を講じたか否かによって判断される。交通法規上の一時停止義務および左右の交通の安全を確認すべき義務が存在する場合、これらを怠ったことは、他の道路状況(道路の広狭等)のいかんにかかわらず、過失を構成する。
重要事実
被告人が自動車を運転中、交差点において一時停止の義務があったにもかかわらずこれを怠り、かつ左右道路の交通の安全を確認すべき義務も怠ったことにより、他者に傷害を負わせる事故を起こした。弁護人は、当該交差道路の広狭が罪の成否に影響すると主張して上告した。
あてはめ
原判決は、被告人が「一時停止の義務」と「左右道路の交通の安全を確認すべき義務」の双方を怠ったという事実を認定している。これらの義務は、道路の広狭といった客観的状況以前に、事故回避のために運転者に課せられた直接的かつ具体的な注意義務である。したがって、被告人がこれらの義務を尽くさなかった以上、道路の広狭がどうであったかは、過失の成立という結論を左右するものではないと評価される。
結論
被告人に一時停止義務および安全確認義務の違反がある以上、道路の広狭にかかわらず業務上過失致死傷罪が成立する。
事件番号: 昭和47(あ)1600 / 裁判年月日: 昭和48年2月15日 / 結論: 棄却
道路交通法七二条一項後段、一一九条一項一〇号の規定が憲法三八条一項に違反するものでないことは等裁判所大法廷判決(昭和三五年(あ)第六三六号同三七年五月二日言渡、刑集一六巻五号四九五頁)の趣旨に徴し明らかである。
実務上の射程
本決定は、基本的な交通ルール(一時停止等)を前提とした過失事案において、道路の広狭といった付随的事情が過失の有無という結論を左右しないことを示している。答案上は、明らかな義務違反がある場合には、その他の有利な事情を捨象して過失を認定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和42(あ)211 / 裁判年月日: 昭和43年7月16日 / 結論: 棄却
一 車両等が、道路交通法第四二条にいう「交通整理の行なわれていない交差点で左右の見とおしのきかないもの」に進入しようとする場合において、その進路が同法第三六条により優先道路の指定を受けているとき、またはその幅員が明らかに広いため、同条により優先通行権の認められているときには、直ちに停止することができるような速度にまで減…
事件番号: 昭和47(あ)2025 / 裁判年月日: 昭和48年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自首が成立する事案においてその認定を誤った判決があっても、諸般の事情を考慮して宣告刑が不当に重いと認められない限り、判決の破棄は要しない。 第1 事案の概要:被告人は業務上過失傷害および道路交通法違反(救護義務違反)の罪に問われた。被告人は事件後、捜査機関に対して自ら犯罪事実を申告したが、原判決は…