判旨
特別抗告において、原判決の認定に副わない事実を前提とする違憲主張や、実質的に単なる法令違反を主張するものは、適法な抗告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
原判決の認定事実に反する事実を前提とした違憲主張や、実質的に単なる法令違反をいう主張が、刑事訴訟法上の適法な特別抗告理由に当たるか。
規範
刑事訴訟法上の特別抗告(433条1項)が認められるためには、憲法違反または憲法解釈の誤りがあることを具体的に示す必要がある。原判決が認定した事実と異なる事実を前提とする主張や、実質的に単なる法令違反を主張するにとどまるものは、適法な特別抗告の理由とは認められない。
重要事実
抗告人らが、原決定に対して特別抗告を申し立てた事案。抗告人らは、憲法違反を理由として主張を展開したが、その内容は原判決の認定した事実とは異なる前提に立つものであったり、あるいは形式上は違憲を主張しながら、その実質においては単なる法令違反を指摘するものであった。
あてはめ
本件における抗告人の主張のうち、理由1および2は原判決が認定していない事実を前提として憲法違反を説くものであり、主張の基礎を欠いている。また、理由3は形式的に憲法違反という表現を用いているものの、その具体的な内容は単なる法令違反を主張するものに帰着する。したがって、いずれも適法な特別抗告理由の要件を満たさないと解される。
結論
本件特別抗告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
特別抗告の理由を憲法違反に限定する刑事訴訟法の運用を再確認したものである。実務上、事実誤認の主張や単なる法令違反を憲法違反に擬装して主張しても、最高裁での門前払いを免れないことを示しており、上告理由と同様の限定的な解釈を採るものである。
事件番号: 昭和52(し)30 / 裁判年月日: 昭和52年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立てにおいて、申立書自体に憲法違反や判例違反の具体的摘示がなく、かつ、法定期限内にこれらを補う理由書も提出されない場合には、当該申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:本件における特別抗告人は、抗告の趣旨として憲法違反及び判例違反を主張した。しかし、提出された特別抗告申立書…
事件番号: 昭和39(し)28 / 裁判年月日: 昭和39年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項違反を主張する特別抗告であっても、その実質が単なる事実誤認の主張に帰する場合には、刑訴法433条の適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、本件について憲法37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた。しかし、その主張…
事件番号: 昭和58(し)21 / 裁判年月日: 昭和58年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条、37条1項違反及び判例違反を主張する特別抗告について、原決定の判示に沿わない主張や単なる法令違反の主張は、刑訴法433条所定の抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し憲法32条、37条1項違反および判例違反を理由に特別抗告を申し立てた。しかし、その主張は原決定の…
事件番号: 昭和57(し)119 / 裁判年月日: 昭和57年11月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の理由として憲法違反や判例違反が主張されていても、実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合には、刑事訴訟法433条の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原判断に判例違反および憲法違反があるとして特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の内容を精査したところ、原判断は引用され…
事件番号: 昭和29(し)9 / 裁判年月日: 昭和29年5月4日 / 結論: 棄却
地裁の一人の裁判官が刑訴第二四条により忌避申立却下の裁判をしたときは、これに対する不服は同第四二九条第一項(準抗告)によりその地方裁判所に対し行うべく、同第二後条により即時抗告をなすべきものではない。