日本刀不法所持罪はその不法所持自体によつて成立し、日本刀を誇示して脅迫する暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪とは犯罪構成要件を異にし、被害法益も異つているから、第一審判決が同判示第二において認定する日本刀の不法所持が、同判示第一のこれを誇示してなした脅迫のためのものであつて、誇示した間は、誇示即ち所持の関係にあつても、一個の行為で数個の罪名にふれる場合に当らず、両者は併合罪の関係に立つものと解するのが相当であるとした原判断は正当である。
日本刀を不法に所持した者がその日本刀を誇示して脅迫した場合の罪数関係。
暴力行為等処罰ニ関スル法律1条1項,鉄砲刀剣類等所持取締法3条1項,刑法45条,刑法54条1項
判旨
被告人の各所為が併合罪(刑法45条前段)に当たるとした原判断を正当として、上告を棄却した。
問題の所在(論点)
被告人が行った各所為が、刑法45条前段の併合罪に当たるか、それともより軽い罪数関係(一罪)として扱われるべきか。
規範
複数の行為が併合罪(刑法45条前段)となるか、あるいは一罪(観念的競合や包括一罪等)となるかの区別については、行為の個数、法益の同一性、態様等の諸般の事情を総合して判断すべきである。
重要事実
被告人が複数の所為に及んだ事案であるが、判決文からは具体的な犯罪事実の内容や日時、場所等の詳細は不明である。
事件番号: 昭和57(あ)554 / 裁判年月日: 昭和57年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑の際に被告人の前科を悪性格の証左として参酌することは、前科に係る犯罪について重ねて刑事責任を問うものではないため、憲法39条後段の二重処罰の禁止には抵触しない。 第1 事案の概要:被告人の刑事裁判において、裁判所が量刑の判断(量刑不当の控訴趣意に対する判断)に際し、被告人の前科について判示した…
あてはめ
最高裁判所は、原審が被告人の各所為を併合罪として処理した判断について、記録を精査した結果、正当であると認めた。弁護人が主張する法令違反の事由は認められず、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な事由も存在しないと判断した。
結論
被告人の各所為は併合罪に当たるとした原判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
具体的な事実関係の記載に乏しいため、本決定のみから詳細な罪数論の規範を導き出すことは困難であるが、実務上は個々の行為の独立性が高い場合には併合罪として処理されるという原則を確認する趣旨で参照される。
事件番号: 昭和42(あ)2379 / 裁判年月日: 昭和43年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決に影響を及ぼさない事実誤認は、上告理由や破棄事由にはならない。被告人が所持していた拳銃の挺数に関する軽微な認定誤りは、結論として被告人の処断に影響しない限り、判決の違法とは認められない。 第1 事案の概要:被告人BおよびCは、拳銃の不法所持の罪に問われた。原判決は、昭和38年11月24日に特定…
事件番号: 昭和29(あ)548 / 裁判年月日: 昭和30年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】没収の根拠法条の適用に誤りがある場合でも、当該物件が他の法条に基づき適法に没収し得るものであれば、直ちに判決に影響を及ぼすべき著しい法令違反には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は銃砲刀剣類等所持取締令違反等の罪に問われ、原審は証拠物件である短刀一振を同令30条に基づき没収した。しかし、当該短…
事件番号: 昭和40(あ)2719 / 裁判年月日: 昭和41年6月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】第一審判決のうち、検察官が一部についてのみ控訴し、被告人が控訴しなかった場合、控訴されなかった部分は控訴期間の経過により確定する。したがって、控訴審が確定した部分についてまで審判を行うことは、係属していない事件を審理する違法がある。 第1 事案の概要:被告人に対し、第一審(山形地裁鶴岡支部)は、判…
事件番号: 昭和45(あ)2212 / 裁判年月日: 昭和46年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法56条及び57条に規定される累犯加重の制度は、憲法13条の個人の尊重及び憲法36条の拷問・残虐な刑罰の禁止の規定に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、前科がある状態でさらに罪を犯し、累犯として刑法56条、57条の適用を受けた。これに対し弁護人らは、累犯加重が憲法13条、31条、36条、3…