判旨
刑法56条及び57条に規定される累犯加重の制度は、憲法13条の個人の尊重及び憲法36条の拷問・残虐な刑罰の禁止の規定に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法上の累犯加重規定(刑法56条、57条)が、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)や憲法36条(残虐な刑罰の禁止)に違反するか。
規範
累犯加重の規定(刑法56条、57条)は、過去に刑の執行を受けながら再び罪を犯した者に対して、その責任を重く評価し刑を不加重するものであり、憲法13条(幸福追求権・個人の尊重)や憲法36条(残虐な刑罰の禁止)に反するものではない。
重要事実
被告人は、前科がある状態でさらに罪を犯し、累犯として刑法56条、57条の適用を受けた。これに対し弁護人らは、累犯加重が憲法13条、31条、36条、37条等に違反すると主張して上告した。
あてはめ
判旨は、累犯加重が憲法13条および36条に違反しない点については、過去の大法廷判例(昭和24年12月21日判決等)の趣旨に照らして明らかであるとしている。累犯加重は、更生への期待を裏切ったことに対する強い責任非難を基礎とするものであり、不当に過重な刑罰とはいえず、個人の尊重や人道に反するとは認められない。
結論
刑法56条、57条の規定は憲法13条および36条に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
累犯加重の憲法適合性に関する定番の判例である。答案上では、二重処罰の禁止(憲法39条)との関係が問題になることもあるが、本判決は憲法13条・36条との関係を肯定した。実務上は、累犯規定の合憲性を前提とした量刑判断がなされる。
事件番号: 昭和43(あ)1605 / 裁判年月日: 昭和44年9月26日 / 結論: 棄却
一 暴力行為等処罰に関する法律一条の三所定の罪についても刑法の累犯加重の規定の適用がある。 二 ある前科の存在をもつて常習的暴行等の罪(暴力行為等処罰に関する法律一条の三)の要件たる常習性を認定する一資料とした場合において、その前科と右常習的暴行等の罪とが刑法上の累犯の関係にあるときは、右常習的暴行等の罪につき累犯加重…
事件番号: 昭和57(あ)554 / 裁判年月日: 昭和57年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑の際に被告人の前科を悪性格の証左として参酌することは、前科に係る犯罪について重ねて刑事責任を問うものではないため、憲法39条後段の二重処罰の禁止には抵触しない。 第1 事案の概要:被告人の刑事裁判において、裁判所が量刑の判断(量刑不当の控訴趣意に対する判断)に際し、被告人の前科について判示した…
事件番号: 昭和42(あ)2625 / 裁判年月日: 昭和43年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】前科を量刑上の判断材料として参酌することは、同一の犯罪事実について重ねて刑事上の責任を問うものではないため、憲法39条後段の二重処罰の禁止には違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、裁判所が被告人の前科を量刑上の情状として参酌した。これに対し、弁護人は、判決謄本…
事件番号: 昭和38(あ)546 / 裁判年月日: 昭和38年6月25日 / 結論: 棄却
日本刀不法所持罪はその不法所持自体によつて成立し、日本刀を誇示して脅迫する暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪とは犯罪構成要件を異にし、被害法益も異つているから、第一審判決が同判示第二において認定する日本刀の不法所持が、同判示第一のこれを誇示してなした脅迫のためのものであつて、誇示した間は、誇示即ち所持の関係にあつても、…