原判決が関税法第一一二条違反罪と同法第一一〇条違反罪との関係を、刑訴法第九条第二項にいわゆる「賍物に関する罪とその本犯の罪」との関係と同一視すべきものとし、右両者を関連事件としたのは相当である。
関税賍物犯と関税逋脱犯とは関連事件か。
関税法112条,関税法110条,刑訴法9条2項
判旨
関税法112条違反(密輸品の運搬等)と関税法110条違反(密輸入)の関係は、刑事訴訟法9条2項にいう「賍物に関する罪とその本犯の罪」の関係に準ずるものとして、関連事件に当たると解すべきである。
問題の所在(論点)
関税法112条違反(密輸品の運搬・寄託・買受け等)と、同法110条違反(密輸入)が、刑事訴訟法9条2項所定の「関連事件」に当たるか。
規範
刑事訴訟法9条2項(関連事件の併合)における「賍物に関する罪とその本犯の罪」の規定は、本犯となる犯罪から生じた不正な財物の流通・処分に関わる罪についても広く適用される。したがって、関税法上の密輸入罪とその密輸品を対象とする密輸品運搬等の罪との間にも、同様の関連性を認めるのが相当である。
重要事実
被告人両名に対し、関税法112条(密輸品運搬罪等)および同法110条(密輸入罪)の違反が問われた事案において、原審はこれら両罪が刑訴法9条2項にいう「賍物に関する罪とその本犯の罪」の関係と同一視できるものとして関連事件とし、訴訟手続を進めた。弁護人はこれを法令違背であるとして上告した。
事件番号: 昭和42(あ)346 / 裁判年月日: 昭和42年10月12日 / 結論: 棄却
関税法第一一一条第一項に違反して輸出された犯罪貨物に関し、同法第一一八条第二項に定める「その没収することができないもの又は没収しないものの犯罪が行われた時の価格」とは、その犯罪が行なわれた当時における犯罪貨物の国内卸売価格を指し、右価格中には内国消費税および通常の卸売取引における適正利潤が含まれるものと解するのを相当と…
あてはめ
関税法110条違反は、本来輸入されるべきでない物品を不正に持ち込む本犯の性格を有し、同法112条違反はその結果として生じた密輸品を扱う事後的な関与である。この構造は刑法における「賍物に関する罪(盗品等関与罪)とその本犯」の構造と実質的に等しい。したがって、両罪は「賍物に関する罪とその本犯の罪」の関係にあるものとして、刑訴法9条2項2号に掲げる関連事件に含まれると解するのが相当である。
結論
関税法110条違反と112条違反は関連事件に当たる。したがって、原審の訴訟手続に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
併合審理の要件である「関連事件」の範囲を実質的に解釈する際、明文の「賍物に関する罪」に限定せず、本犯と密接な関係にある事後従犯的な罪状(密輸品関連罪)にも類推ないし拡張して適用できることを示す判例である。答案上は、併合管轄や併合審理の可否が問われる場面で、罪名が異なっても実質的な本犯・事後罪の関係があれば本条を根拠に関連性を基礎付ける論拠として用いる。
事件番号: 昭和38(あ)1348 / 裁判年月日: 昭和40年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法118条1項及び2項に規定する「犯人」とは、密輸品の所有者に限定されず、犯罪の実行行為者、教唆者、幇助者の全員を指す。また、没収不能の場合の追徴は、犯人が連帯してその価額を納付すべき義務を負うと解される。 第1 事案の概要:被告人A及び被告人Bらは、関税法違反(密輸)の罪に問われた。原審は、…
事件番号: 平成4(あ)499 / 裁判年月日: 平成5年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法118条2項にいう「犯人」とは、密輸入された犯罪貨物等の所有者や占有者に限定されず、当該犯罪に関与したすべての共犯者を含む。この解釈は憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが、関税法違反(密輸入等)の罪に問われた事案。原判決において、犯罪貨物等を没収できないことに代えて…
事件番号: 昭和32(あ)2968 / 裁判年月日: 昭和35年10月28日 / 結論: 棄却
一 関税法三条によれば輸入貨物には関税定率法により関税を課す旨定めているが、同法別表輸入税表一一四〇は「紙幣、銀行券」を無税としている。紙幣銀行券は無税ではあるが関税法上貨物であることはこれによつて明らかである。紙幣銀行券が外国為替及び外国貿易管理法において支払手段として取扱つているからといつて、右関税法並びに関税定率…