少年法第二〇条による検察官送致の決定をした裁判官が後にその刑事事件の審判に関与しても裁判官除斥の原因とならない(当裁判所昭和二七年(あ)第五四七四号同二九年二月二六日第二小法廷決定、刑集八巻二号一九八頁参照)。
少年法第二〇条による送致決定と除斥の原因。
少年法20条,刑訴法20条6号,刑訴法20条7号
判旨
少年法20条に基づく検察官送致の決定に関与した裁判官が、その後の刑事訴訟の審判に関与することは、刑事訴訟法上の除斥原因には当たらず、憲法37条1項にも違反しない。
問題の所在(論点)
少年法20条による検察官送致(逆送)の決定に関与した裁判官が、その後の刑事事件の審判に関与することは、憲法37条1項にいう「公平な裁判所」による裁判を受ける権利を侵害し、違憲といえるか(刑事訴訟法上の除斥事由に準じて判断すべきか)。
規範
裁判官の除斥原因は、裁判の公平を著しく害するおそれがある場合に限定される。少年法上の検察官送致決定は、家庭裁判所における保護処分か刑事処分かの振分けを行う手続であり、被告人の有罪・無罪を確定させる予断を直ちに生じさせるものではない。したがって、同決定に関与した裁判官が刑事裁判に関与しても、憲法37条1項の保障する「公平な裁判所」の要請に反するものではない。
重要事実
被告人の少年事件において、家庭裁判所にて少年法20条に基づき検察官送致(いわゆる逆送)の決定を下した裁判官が、その後に提起された刑事事件の審理・裁判に関与した。被告人側は、このような裁判官の関与は裁判の公平を欠き、憲法37条1項に違反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、先行する判例の趣旨を引用し、検察官送致の決定を行った裁判官が後の刑事手続に関与したとしても、それが直ちに裁判官の除斥原因となるものではないと判示した。これは、家庭裁判所における送致決定が、刑事訴訟法20条(前審関与)が想定するような「事件の予断」を確定的に生じさせる職務執行には該当しないとの判断を前提としている。したがって、憲法37条1項違反の主張には理由がない。
結論
少年法20条による検察官送致決定をした裁判官が刑事事件の審判に関与しても、憲法37条1項に違反しない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法20条の「除斥」の解釈、および憲法37条1項の「公平な裁判所」の意義が問われる問題で活用できる。家庭裁判所での手続関与が刑事訴訟における除斥事由とならないことを示す代表的な判例である。
事件番号: 昭和27(あ)5474 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 棄却
少年法第二〇条による検察官送致の決定をした裁判官が、後にその刑事事件の審判に関与しても、刑訴第二〇条第七号にいう前審の裁判に関与したものということはできない。