刑訴法第一八一条第一項は憲法第三七条第二項に違反しない。このことは当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第三一六号同年一二月二七日大法廷判決、刑集二巻一四号一九三四頁・昭和三四年(あ)第一五二〇号同三五年一月一九日第三小法廷判決、刑集一四巻一号一八頁)の趣旨に照らして明らかである。
刑訴法第一八一条第一項は憲法第三七条第二項に違反するか。
刑訴法181条1項,憲法37条2項
判旨
有罪の言渡しを受けた被告人に対し、証人喚問に要した費用等の訴訟費用を負担させることは、憲法37条2項に違反しない。
問題の所在(論点)
刑訴法181条1項により、有罪の言渡しを受ける被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させることが、被告人に公費で自己のために強制的に証人を求める権利を保障する憲法37条2項に違反するか。
規範
刑訴法181条1項に基づき、有罪判決を受けた被告人に訴訟費用の負担を命じることは、憲法37条2項が保障する「証人喚問権」を実質的に侵害するものではなく、合憲である。
重要事実
被告人A及びBは、有罪判決の宣告を受けた際、証人喚問に要した費用の負担を命じられた。これに対し、被告人側は、証人の喚問費用を被告人に負担させることは、憲法37条2項が保障する公費による証人喚問権を侵害し、違憲であるとして上告した。
あてはめ
最高裁判所大法廷の昭和23年12月27日判決の趣旨に照らせば、被告人に証人喚問費用を負担させることは、憲法37条2項が予定する手続の範囲内である。被告人Bが主張する供述調書の任意性に関する主張も、記録上その任意性を疑うべき資料は存在せず、適法な上告理由に当たらない。
結論
刑訴法181条1項は憲法37条2項に違反しない。したがって、被告人に訴訟費用の負担を命じた原判決は妥当である。
実務上の射程
訴訟費用の被告人負担原則(刑訴法181条1項)の合憲性を確認した判例である。司法試験においては、刑事訴訟法上の「訴訟費用」の論点で、被告人の防御権や証人喚問権との関係が問題となった際の合憲性の根拠として引用する。
事件番号: 昭和25(あ)3190 / 裁判年月日: 昭和25年10月19日 / 結論: 棄却
右憲法第三七条第二項の規定は証人尋問に要する費用は、すべて国家でこれを支給し、訴訟進行の過程において、被告人にこれを支弁せしむることなく、被告人の無資産などの事情のために、充分に証人の喚問を請求する自由が妨げられてはならないという趣旨であつて、もつぱら判事被告人をして訴訟上の防禦を遺憾なく行使せしめんとする法意にもとず…
事件番号: 昭和28(あ)430 / 裁判年月日: 昭和28年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項及び3項は、有罪判決を受けた被告人に対し、証人尋問費用や国選弁護人の報酬等を訴訟費用として負担させることを禁止する趣旨ではない。 第1 事案の概要:被告人が有罪判決を受けた際、裁判所が証人尋問の費用および国選弁護人に支払われるべき報酬等を訴訟費用として被告人に負担させた事案。被告人側…