判旨
他の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間は、たとえ当該事件について勾留状が執行され未決勾留の状態にあったとしても、その日数を本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
被告人が他の確定刑の執行を受けている期間と、本件の未決勾留期間が重複している場合、刑法21条に基づきその日数を本件の刑期に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入において、勾留と確定刑の執行が重複する場合、その重複する期間を本刑に算入することは、被告人に不当な利益を与えるものであり、同条の適用誤りとして許されない。
重要事実
被告人は強盗殺人罪により懲役5年以上8年以下の刑に処せられ、仮出獄中に本件窃盗事件を起こした。本件について勾留中の昭和36年9月5日に仮出獄が取り消されたため、翌6日より前科の残刑執行(刑務所収容)が開始された。原審は、この残刑執行開始後かつ本件の控訴審継続中の期間(未決勾留期間)について、そのうち90日間を本件の刑に算入する旨を言い渡した。
あてはめ
被告人は昭和36年9月6日以降、前科の残刑の執行を受けて受刑中の身であった。この期間は実質的に刑の執行を受けているものであり、本件の勾留と重複していたとしても、これをさらに本件の未決勾留日数として算入することは、二重に期間を控除することになり被告人に不当な利益を与える。したがって、残刑執行開始後の日数を本刑に算入した原判決は刑法21条の適用を誤ったものといえる。
結論
原判決中、未決勾留日数を本刑に算入した部分は違法として破棄される。
実務上の射程
未決勾留日数の算入(刑法21条)の限界を画する。実務上、被告人が別件で受刑中の場合、その受刑期間中の勾留日数は通算できないという運用を確立した判例である。答案上は、未決勾留の算入可否が問題となる場面で、既決刑の執行との重複を排除する根拠として引用する。
事件番号: 昭和37(あ)2364 / 裁判年月日: 昭和38年2月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】他の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間と重複する未決勾留日数は、刑法21条の「未決勾留の日数」として本刑に算入することはできない。 第1 事案の概要:被告人は本件の起訴前から第一審・原審を通じて勾留されていたが、その期間中に別件の窃盗罪による懲役刑の仮出獄が取り消され、昭和37年5月14日か…