所論は輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第一条が「この法律は、酒税法、砂糖消費税法、物品税法……の規定において定めるもののほか、輸入する物品に対する内国消費税の賦課、徴収及び免除等について定めるものとする」と規定しているところから、たとえ同法第三条の「酒税法等」のうちに物品税が含まれ、従つてその適用があるとしても、その適用される範囲は、右第一条の規定により、物品税の賦課、徴収及び免除等に限られ、その罰則規定までも含まれるものではないと前提し、その前提の下に、本件被告人等の行為に右物品税法第一八条第一項第二号を適用処断した原判決は憲法第三一条に違反するというにあるけれども、所論のとる前提自体、独自の見解であつて、その採るを得ない、従つて所論違憲の主張はその前提を欠く。
輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第三条により適用される物品税法の範囲と憲法第三一条。
憲法31条,物品税法18条1項2号,輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和37年法律48号による改正前のもの)1条,輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和37年法律48号による改正前のもの)3条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和27年法律112号)12条1項
判旨
日米地位協定の実施に伴う関税法等臨時特例法に基づく免税物品の譲受が輸入とみなされる場合、物品税法の罰則規定も適用され、また、米軍人を利用して脱税を図った者のみを起訴することは平等原則に反しない。
問題の所在(論点)
1. 関税法等臨時特例法および内国消費税徴収法の規定により、輸入とみなされる免税物品の譲受に対して物品税法の罰則規定を適用できるか(罪刑法定主義・憲法31条)。2. 犯罪に関与した米国軍人が起訴されず、日本人被告人のみが起訴・処罰されることが法の下の平等(憲法14条1項)に反するか。
規範
1. 輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律3条にいう「酒税法等」には物品税法が含まれ、その適用範囲は賦課・徴収のみならず罰則規定も包含する。2. 犯情が類似する犯人間の処罰に差異が生じても、直ちに憲法14条1項の法の下の平等の原則に違反するものではない。
事件番号: 昭和37(あ)927 / 裁判年月日: 昭和39年11月18日 / 結論: 棄却
一 法の下における平等の原則を定めた憲法第一四条第一項の趣旨は、特段の事情の認められない限り、外国人に対しても類推さるべきものと解するのが相当である。 二 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和三三年法律第六八号による改正前の昭和二七年法律第一一二…
重要事実
被告人らは、免税特権を有する駐日米国軍人を自己の手足として利用し、免税物品を購入させることで、不正に関税および物品税を免れた。原審は、被告人らが米国軍人と共謀した事実は否定しつつ、被告人らが不正行為の主体であると認定し、物品税法違反等の罪に問うた。被告人らは、罰則の適用範囲の誤解や、利用された米国軍人が起訴されていないことによる平等原則違反を主張して上告した。
あてはめ
1. 内国消費税徴収法1条は輸入物品に対する税の賦課等を定め、同法3条は「酒税法等」の規定を適用すると規定している。この「酒税法等」には物品税法が含まれ、特例法により「輸入」とみなされる行為に対しては、物品税法の賦課徴収のみならず、その実効性を担保する罰則規定の適用も当然に予定されている。2. 検察官の起訴裁量により、類似の犯行に関与した者のうち一部(本件では利用された米国軍人)が起訴されず、他の者(被告人ら)のみが起訴されたとしても、それが直ちに差別的取扱いとして違憲となるわけではない。本件において人種等を理由とした差別を裏付ける資料は存在しない。
結論
被告人らに対し物品税法の罰則を適用した原判決に憲法31条違反はなく、米国軍人が不起訴であることによる平等原則違反(憲法14条1項違反)も認められない。
実務上の射程
間接正犯的手法(手足としての利用)を用いた脱税事件における処罰根拠を認めた事例。特に、共犯者間での起訴・不起訴の差異が直ちに平等原則違反とはならないという判断枠組みは、検察官の起訴裁量権の限界に関する標準的な判例として、刑事訴訟法上の論点でも引用可能である。
事件番号: 昭和37(あ)1253 / 裁判年月日: 昭和38年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法36条の「残虐な刑罰」とは、刑罰そのものが不必要な精神的・肉体的苦痛を内容とする人道上残酷なものを指し、法定刑の選択や量定の不当を含まない。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、偏頗のない組織・構成の裁判所を意味し、被告人間での刑の不均衡はこれに直ちに反しない。 第1 事案の概要:被告人…
事件番号: 昭和36(あ)2714 / 裁判年月日: 昭和38年3月19日 / 結論: 棄却
一 合衆国軍隊の構成員等以外の者が、「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律」第六条の規定の適用を受けた物品である自動車を日本国内において譲り受けようとするときは(同法第一二条第一項の適用を受ける譲受)、昭和三三年法律第六八号による改正前においても、旧物…
事件番号: 昭和37(あ)1866 / 裁判年月日: 昭和39年7月1日 / 結論: 棄却
一 法人の代表者に対する関税法違反被告事件において、同法第一一八条第一項により、第三者たるその法人所有の犯罪貨物を没収するにあたつては、被告人に対して犯罪事実に関する弁解、防禦の機会が与えられているかぎり、改めてその法人に対してこれらの機会を与えることを要しない。 二 関税法第一一八条第二項にいわゆる犯人とは、犯罪貨物…