屋外において喧嘩し住居に引き揚げた者が後を追つて住居に入つてきた相手方と引き続き喧嘩闘争中相手方を殺害したときは、防衛のためにした場合であつても、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第一条第一項第三号にあたらない。
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第一条第一項第三号にあたらないとされた事例。
盗犯等ノ防止及び処分ニ関スル法律1条1項3号
判旨
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条1項3号にいう「排斥」とは、相手を単に屋外へ追い出す場合に限定されるものではなく、本件のような事実関係の下では同条の適用は認められない。
問題の所在(論点)
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条1項3号に規定される「排斥」の意義および適用範囲、ならびに同条の正当防衛特則が適用されるための要件が問題となる。
規範
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条1項3号の「排斥」とは、故なく人の住居等に侵入した者等を「屋外に排斥」する場合に限定されるものではないが、当該行為が同条の趣旨に照らして正当防衛の特則を適用すべき状況にあることを要する。
重要事実
被告人は、被害者Aが住居に侵入した際、これに対して暴行等の行為に及んだ。原審は、被告人の行為を「被害者Aを屋外に排斥せんがための所為とは認められない」と判断し、かつ正当防衛の成立も否定した。これに対し、被告人側は、同条の「排斥」を屋外への追い出しに限定して解釈した点に誤りがあるとして上告した。
あてはめ
最高裁は、原判決が「屋外に排斥せんがための所為とは認められない」と述べた点は、あくまで本件の具体的な事実関係に即して被告人の行為を説明したに過ぎないと判断した。つまり、同条の「排斥」が屋外への排出に限られないという法意を前提としても、確定した事実関係(詳細は判決文からは不明)に照らせば、被告人の行為は同条の適用を受けるような性質のものではなく、また正当防衛にも該当しないと評価される。
結論
被告人の行為は、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条1項3号の適用要件を満たさず、正当防衛も成立しない。上告棄却。
実務上の射程
盗犯防衛法1条1項の「排斥」の定義が屋外への排出に限定されないことを確認しつつも、同条の適用には事実関係に基づいた厳格な正当性の判断が必要であることを示唆している。答案上は、同条の適用範囲を形式的に限定せず、具体的な侵害態様と防衛行為の相当性を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和41(あ)1424 / 裁判年月日: 昭和43年7月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】労働基本権を保障する憲法28条の下においても、争議行為等に伴う暴行・脅迫等の違法な行為について正当防衛(刑法36条1項)が成立するためには、急迫不正の侵害に対し、自己又は他人の権利を防衛するため「やむを得ずにした行為」といえることが必要である。 第1 事案の概要:被告人らは、労働争議の一環として行…
事件番号: 昭和25(れ)1616 / 裁判年月日: 昭和26年1月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が、原審の裁量権に属する証拠の取捨、事実認定、または刑の量定を非難するにとどまる場合は、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:弁護人は、原審がその裁量権の範囲内で適法に行った証拠の取捨選択、事実の認定、および刑の量定に誤りがあるとして、上告を申し立てた。なお、被告人が問われた具体…