被告人を無期懲役に処する場合においても、未決勾留日数を本刑に算入することができないものではない。
無期懲役と未決勾留日数の算入。
刑法12条,刑法21条
判旨
無期懲役刑を科すことは、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらず、憲法13条および25条にも違反しない。
問題の所在(論点)
重大な犯罪に対して無期懲役刑を科すことが、憲法36条の禁じる「残虐な刑罰」に該当するか。また、同刑罰が憲法13条および25条に違反するか。
規範
憲法36条にいう「残虐な刑罰」とは、人道上の見地から不当に苛酷な刑罰を指すが、重大な犯罪に対して無期懲役刑を科すことはこれに該当しない。また、憲法13条(個人の尊重)や25条(生存権)の規定は、公共の福祉に基づく刑罰権の行使に対して不合理な制限を加えるものではない。
重要事実
被告人は重大な犯罪を犯したとして、第一審および控訴審において無期懲役刑を言い渡された。これに対し被告人側は、無期懲役刑を科すことは憲法13条、25条、36条に違反するとして上告した。また、自白の強制や量刑不当、未決勾留日数の算入に関する不服も申し立てられた。
あてはめ
判例(昭和24年12月21日大法廷判決等)の趣旨に照らせば、無期懲役刑そのものが残虐な刑罰とはいえない。本件においても、被告人の犯した犯罪は重大であり、これに対して無期懲役刑を選択することは刑罰権の正当な行使である。したがって、被告人の生命・自由を制限し、生存権に関わるとしても、憲法13条、25条、36条の規定に抵触する不合理な権利侵害があるとは認められない。
結論
無期懲役刑は憲法36条、13条、25条に違反しないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
死刑と同様、法定刑として用意されている刑罰の種類そのものの違憲性を否定した判例である。答案上では、刑罰の内容が人道的限度を超えて苛酷であるか否かという「残虐な刑罰」の判断基準を示す際や、刑罰による基本権制限の正当化を論じる際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和25(あ)1356 / 裁判年月日: 昭和26年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」とは、刑罰そのものが人道上残酷と認められるものを指し、法定刑の選択や範囲内での量刑の不当を意味するものではない。 第1 事案の概要:被告人は詐欺の罪に問われ、有罪判決を受けた。これに対し被告人側は、欺罔の意思がなかったことを主張して事実誤認を訴えるとともに、宣告され…
事件番号: 昭和30(あ)467 / 裁判年月日: 昭和30年6月30日 / 結論: 棄却
死刑は憲法三六条、一一条、一三条、九条、九七条等に違反しない。