一 「本件の場合は、右支払当時貨物は特定していたと認められるばかりか、外国為替及び外国貿易管理法第二八条にいう外国にある財産は特定し得るものであれば足り、必ずしも支払時において特定していることを要しない」旨の原判断は正当である。 二 同条にいわゆる関連支払の禁止は、代償支払禁止の補完的規定であるから、外国にある財産取得の過程が証拠上不明である原認定の如き事実関係につき原判決が、関連支払を以て問擬した措置は、正当であつて、所論の如き違法は存しないものというべきである。 三 刑訴法第四〇二条にいう「原判決より重い刑を言い渡す」とは、判決主文における科刑を原判決にくらべて重くすることを意味するのであるから、原判決が本件支払額を第一審判決より少く認定しながら、同判決と同一の刑を言い渡したことは、何ら同条に違反するものではない。
一 外国為替及び外国貿易管理法第二八条にいう「外国に在る財産」の意義。 二 同条にいう「関連支払」と「代償支払」との関係。 三 刑訴法第四〇二条にいう「原判決より重い刑を言い渡す」の意義。
外国為替及び外国貿易管理法28条,刑訴法402条
判旨
外国為替及び外国貿易管理法28条にいう「外国に在る財産」とは、支払時において必ずしも特定されていることを要せず、特定し得るものであれば足りる。また、同条の「関連支払」の禁止は代償支払禁止の補完的規定であり、財産取得の過程が不明であっても適用され得る。
問題の所在(論点)
1. 外為法28条にいう「外国に在る財産」は、支払時において特定されている必要があるか。2. 財産取得の過程が不明な場合であっても、同条の関連支払(代償支払)として問擬することができるか。
規範
1. 外国為替及び外国貿易管理法(当時)28条にいう「外国に在る財産」とは、支払の当時において現に特定している必要はなく、客観的に特定し得るものであれば足りる。2. 同条の関連支払(代償支払)の禁止規定は、実質的に外国にある財産の取得等に関連する国内支払を規制するものであり、財産取得の具体的な過程が証拠上不明であっても、その支払が財産取得に関連するものである限り、同条の規制対象となる。
事件番号: 昭和37(あ)906 / 裁判年月日: 昭和38年12月4日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第二項第一号は、非居住者が同号記載の費用を支弁するため本邦通貨で支払う場合を規定したものと解すべきである(昭和三六年(あ)第二五四三号同三七年一二月一八日第三小法廷決定、刑集一六巻一二号一七〇六頁参照)。
重要事実
被告人らは、輸入貿易管理令上の「無為替輸入」の承認を得たと仮装して貨物を輸入した。その際、当該貨物の代金決済を国内において円貨で居住者間で行ったが、これが当時の外国為替及び外国貿易管理法28条(現在の外為法でも類型の規制あり)が禁じる、外国にある財産の取得等に関連する「代償支払」にあたるとして起訴された。弁護人は、支払時に貨物が特定されていないことや、代償支払の解釈誤りなどを主張して上告した。
あてはめ
1. 外為法の目的である支払管理の観点からは、支払と対価関係にある財産が事後的にであれ特定されれば、対外取引の適正な管理を阻害する。したがって、支払時に貨物が不特定であっても、特定し得るものであれば「外国に在る財産」に該当すると解するのが相当である。2. 本件では貨物は支払当時に特定していたと認められるほか、仮にそうでなくとも特定可能であった。また、財産取得の過程が詳細に不明であっても、実態として外国にある財産の取得に関連して国内支払がなされている以上、代償支払禁止の補完的規定である関連支払の禁止に抵触すると評価される。
結論
外為法28条の「外国に在る財産」は支払時に特定している必要はなく、特定可能であれば足りる。また、財産取得過程が不明でも関連支払として処罰可能である。
実務上の射程
外為法における「代償支払」や「関連支払」の概念を広く解釈し、脱法的な国内決済による外貨規制逃れを厳しく制限する射程を持つ。司法試験においては、行政法規の解釈において文言の目的論的解釈(規制の実効性確保)を行う際の参考となる。現在の外為法体系においても、居住者・非居住者間の決済規制の趣旨を理解する上で重要である。
事件番号: 昭和38(あ)1801 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
一 外国為替及び外国貿易管理法第七三条は、事業主たる法人の代表者でない従業者の違反行為につき、当該法人に右行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定と解すべく、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れないとする法意である…
事件番号: 昭和39(あ)2728 / 裁判年月日: 昭和40年9月10日 / 結論: 棄却
非居住者に対して、いわゆる「預り円」を支払うことは、外国為替及び外国貿易管理法第二七条第一項第二号前段の規制の対象となる。
事件番号: 昭和42(あ)346 / 裁判年月日: 昭和42年10月12日 / 結論: 棄却
関税法第一一一条第一項に違反して輸出された犯罪貨物に関し、同法第一一八条第二項に定める「その没収することができないもの又は没収しないものの犯罪が行われた時の価格」とは、その犯罪が行なわれた当時における犯罪貨物の国内卸売価格を指し、右価格中には内国消費税および通常の卸売取引における適正利潤が含まれるものと解するのを相当と…
事件番号: 昭和38(あ)1348 / 裁判年月日: 昭和40年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法118条1項及び2項に規定する「犯人」とは、密輸品の所有者に限定されず、犯罪の実行行為者、教唆者、幇助者の全員を指す。また、没収不能の場合の追徴は、犯人が連帯してその価額を納付すべき義務を負うと解される。 第1 事案の概要:被告人A及び被告人Bらは、関税法違反(密輸)の罪に問われた。原審は、…