判旨
相互銀行は、金融緊急措置令8条にいう「銀行」に含まれると解するのが相当であり、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条別表乙号24に規定する「金融緊急措置令ニ規定スル金融機関」に該当する。
問題の所在(論点)
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条別表乙号24にいう「金融緊急措置令ニ規定スル金融機関」に、相互銀行が含まれるか。具体的には、金融緊急措置令8条の「銀行」に相互銀行が含まれるか。
規範
特定の罰則規定の適用対象となる「金融機関」の範囲について、法令の趣旨及び実質的な経済的機能を踏まえ、当該法令が参照する他の法令上の「銀行」等の定義に含まれるか否かによって判断する。
重要事実
相互銀行の支店長である被告人が、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条違反に問われた事案。同条は「金融緊急措置令に規定する金融機関」の役職員等を対象としていた。弁護人は、相互銀行が金融緊急措置令8条にいう「銀行」には含まれず、したがって同罰則の対象外であると主張して上告した。
あてはめ
相互銀行は、その業務内容や金融秩序における役割に鑑みれば、金融緊急措置令8条が規定する「銀行」の実質を有するものと解される。したがって、相互銀行は経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条別表乙号24の「金融機関」に該当し、その役員等の行為について同法を適用することは、罪刑法定主義(憲法31条)に反するものではなく、正当な法令解釈である。
結論
相互銀行は金融緊急措置令上の「銀行」に含まれ、同罰則の適用対象となる。被告人に対する同法の適用は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、旧法下における相互銀行の法的性質を判示している。現代の司法試験においては、罪刑法定主義(類推解釈の禁止)と関連して、語義の文言上の範囲と立法趣旨を考慮した拡張解釈の限界を検討する際の参考となる。特に、実質的に同等の機能を有する組織が文言に含まれるか否かの判断手法として位置付けられる。
事件番号: 昭和36(あ)292 / 裁判年月日: 昭和38年7月10日 / 結論: 棄却
相互銀行は経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条別表乙号二四の「金融緊急措置令ニ規定スル金融機関」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和36(あ)1075 / 裁判年月日: 昭和38年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】相互銀行は、金融緊急措置令8条にいう「銀行」に含まれると解するのが相当である。したがって、相互銀行の職員による不正行為に対し、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条を適用することは、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:相互銀行の支店次長である被告人が、その職務に関して不正な行為を行った。検察官…
事件番号: 昭和37(あ)555 / 裁判年月日: 昭和37年9月20日 / 結論: 棄却
原判決が、本件相互銀行のなす貸付業務が、経済関係罰則の整備に関する法律第二条の経済の統制を目的とする法令により行う統制に関する業務であることは明らかであるとして、被告人らの本件行為に右法律第二条を適用したことを相当であると判示したのは正当である。
事件番号: 昭和28(あ)5626 / 裁判年月日: 昭和31年2月29日 / 結論: 棄却
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律別表乙号二四の金融機関たる銀行の為す貸付業務は、金融緊急措置令第六条同施行規則第一三条および金融機関資金融通準則に基いて行われるものであつて、右法律第二条の経済の統制を目的とする法令により行う「統制に関する業務」である。
事件番号: 昭和39(あ)1336 / 裁判年月日: 昭和40年9月21日 / 結論: 棄却
銀行支店長代理が架空の定期預金証書を作成し交付することは、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいわゆる「職務に関する行為」に当る。