判旨
相互銀行は、金融緊急措置令8条にいう「銀行」に含まれると解するのが相当である。したがって、相互銀行の職員による不正行為に対し、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条を適用することは、憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条の適用対象となる「金融緊急措置令ニ規定スル金融機関」の定義において、同令8条の「銀行」に相互銀行が含まれるか。また、これを肯定することが罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反しないか。
規範
刑罰法規の解釈において、文言の意義をその立法目的に照らして合理的に解釈することは、罪刑法定主義(憲法31条)に反しない。特定の法律における「銀行」等の用語の範囲は、当該法律の目的や規制の必要性、実質的な経済的機能を考慮して決定される。
重要事実
相互銀行の支店次長である被告人が、その職務に関して不正な行為を行った。検察官は、相互銀行が金融緊急措置令8条にいう「銀行」に該当し、ひいては経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条別表乙号24に掲げる「金融緊急措置令ニ規定スル金融機関」にあたるとして、同法に基づき起訴した。これに対し被告人側は、相互銀行を銀行に含めることは類推解釈であり、憲法31条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
相互銀行は、その実質的な業務内容や経済的機能において銀行と密接な共通性を有しており、金融秩序の維持を目的とする金融緊急措置令の規制対象とする必要性が高い。したがって、同令8条の「銀行」に相互銀行が含まれると解することは、文言の合理的な解釈の範囲内であり、被告人に予見不可能な不利益を課す類推解釈にはあたらない。ゆえに、相互銀行の職員の本件所為について同法2条を適用した原判断は正当である。
結論
相互銀行は金融緊急措置令上の「銀行」に含まれ、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条の適用対象となる。本件適用は憲法31条に違反しない。
事件番号: 昭和36(あ)1077 / 裁判年月日: 昭和38年7月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】相互銀行は、金融緊急措置令8条にいう「銀行」に含まれると解するのが相当であり、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条別表乙号24に規定する「金融緊急措置令ニ規定スル金融機関」に該当する。 第1 事案の概要:相互銀行の支店長である被告人が、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条違反に問われた事案。同条は「金…
実務上の射程
罪刑法定主義の限界としての拡張解釈と類推解釈の区別が問題となる場面で活用できる。刑罰法規であっても、その立法目的や用語の法的性質に照らし、実質的に同一視し得る概念を文言に含めることは、合理的解釈として許容されることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和36(あ)292 / 裁判年月日: 昭和38年7月10日 / 結論: 棄却
相互銀行は経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条別表乙号二四の「金融緊急措置令ニ規定スル金融機関」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和37(あ)555 / 裁判年月日: 昭和37年9月20日 / 結論: 棄却
原判決が、本件相互銀行のなす貸付業務が、経済関係罰則の整備に関する法律第二条の経済の統制を目的とする法令により行う統制に関する業務であることは明らかであるとして、被告人らの本件行為に右法律第二条を適用したことを相当であると判示したのは正当である。
事件番号: 昭和39(あ)1336 / 裁判年月日: 昭和40年9月21日 / 結論: 棄却
銀行支店長代理が架空の定期預金証書を作成し交付することは、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいわゆる「職務に関する行為」に当る。
事件番号: 昭和28(あ)5626 / 裁判年月日: 昭和31年2月29日 / 結論: 棄却
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律別表乙号二四の金融機関たる銀行の為す貸付業務は、金融緊急措置令第六条同施行規則第一三条および金融機関資金融通準則に基いて行われるものであつて、右法律第二条の経済の統制を目的とする法令により行う「統制に関する業務」である。