一 外貨買取済証明書を他から買受けてその外貨の枠を利用して輸出する、所論のいわゆる枠積輸出は標準決済方法による適法な輸出であると認めることはできない。 二 外国為替及び外国貿易管理法第六九条第三項は憲法第一四条に違反しないことは、当裁判所の屡次の判例(昭和二五年(あ)第三二六九号、同二八年六月二四日大法廷判決、集七巻六号一三六六頁、昭和二三年(れ)第七〇号同年五月二六日大法廷判決、集二巻五号五一七頁、昭和三五年(あ)第七〇一号、同三六年七月二五日第三小法廷判決、集一五巻七号一二一六頁参照)の趣旨とするところである。
一 他から買受けた外貨買取済証明書による輸出(いわゆる枠積輸出)の適法性の有無 二 外国為替及び外国貿易管理法第六九条第三項の合憲性
輸出貿易管理令3条,輸出貿易管理規則4条,標準決済方法に関する規則3条附表1I(1),標準決済方法に関する規則3条附表1I(2),外国為替及び外国貿易管理法69条3項,憲法14条
判旨
法律に基づき公務に従事する民間職員を刑法等の適用において公務員とみなす規定は、職務の公共性に鑑みた合理的な区別であり、生活面での待遇差があっても憲法14条に違反しない。また、共同正犯の一部のみが起訴・処罰されることも、特段の事情がない限り法の下の平等に反するものではない。
問題の所在(論点)
外国為替及び外国貿易管理法69条3項(現行17条等関連)の「みなし公務員」規定および共同正犯の一部のみに対する起訴・処罰が、憲法14条1項の平等原則に違反するか。
規範
特定の事務に従事する者を、罰則の適用においてのみ公務員とみなす規定は、当該事務が公共的性質を有することに基づき、その公正な執行を担保するための合理的な目的によるものである。また、検察官の起訴・不起訴の裁量は広く、共同正犯者間での起訴の有無に差異が生じることも直ちに不合理な差別とは解されない。
重要事実
被告人は、外国為替及び外国貿易管理法に基づき外為事務の委託を受けた銀行職員に対し、いわゆる「枠積輸出」に関する不正を働いた。同法69条1項・3項は、当該委託事務に従事する職員を「法令により公務に従事する職員」とみなして刑法等の罰則を適用するとしていたが、被告人側は、生活面での待遇が公務員と異なるのに罰則のみ公務員扱いすることは不当な差別であり、かつ共同正犯の中で特定のもののみが起訴されたことも平等原則に反すると主張した。
あてはめ
まず、外為法事務の委託を受けた銀行職員は、国家の重要施策に関わる事務を担う点において公共的役割を負っている。そのため、不祥事の抑止と職務の清廉性を確保すべく、罰則の適用において公務員とみなすことは、事務の性質に着目した合理的な区別である。生活面での待遇差は民間職員としての地位に基づくものであり、これをもって不合理とはいえない。次に、検察官の起訴独占・便宜主義の原則に鑑みれば、共同正犯の一部のみを訴追対象とすることも、その裁量の範囲内であり憲法違反とは認められない。
結論
本件各規定および起訴処分の運用は、いずれも憲法14条1項に違反しない。
実務上の射程
みなし公務員規定の合憲性を肯定した確立した判例である。刑法上の贈収賄罪や公務執行妨害罪の客体を検討する際、民間人であっても法令の委任により公務に従事する者の法的地位を説明する根拠として機能する。また、訴追の平等に関する主張への反論としても引用可能である。
事件番号: 昭和31(あ)236 / 裁判年月日: 昭和33年5月30日 / 結論: 棄却
刑法第一五六条は信用度の高い公文書の無形偽造を私文書と異つて特に処罰することにしたものであつて、その保護法益は公文書の信用性に存し、行為者が公務員であるか否かによつてその保護に軽重を設けた規定ではない
事件番号: 昭和26(れ)1428 / 裁判年月日: 昭和27年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】多数の同種の違反者が起訴されず被告人のみが起訴された場合であっても、直ちに憲法14条の法の下の平等に違反するものではない。また、行為時に有罪であったものが裁判時の法令により無罪とされる場合であっても、処罰を維持することは憲法39条前段に抵触しない。 第1 事案の概要:被告人は、原皮需要者割当証明書…
事件番号: 昭和27(あ)6469 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】犯情の類似した犯人の間で処断刑に差異が生じても、直ちに憲法14条の法の下の平等に反するものではない。また、憲法37条1項にいう公平な裁判所とは、その組織構成において偏頗の恐れのない裁判所を指す。 第1 事案の概要:上告人は、犯情の類似した他の犯人と比較して、自らに科された刑罰が重いこと(量刑の不均…