一 農林漁業金融公庫法第一七条、第一九条第二項の各規定は憲法第一四条第一項に違反しない。 二 農林中央金庫の職員に対し贈賄した行為に対する法令の適用として刑法第一九八条が掲げられている以上、農林漁業金融公庫法第一九条第二項の規定によるべき場合に、誤つて、同法第一七条を表示したとしても、刑訴第四一一条第一号にいわゆる判決に影響を及ぼす違法があるとはいえない。
一 農林漁業金融公庫法第一七条、第一九条第二項の各規定の合憲性。 二 刑訴法第四一一条第一号にあたらない事例。
憲法14条1項,農林漁業金融公庫法17条,農林漁業金融公庫法19条2項,刑法198条,刑訴法411条1号
判旨
農林漁業金融公庫法等の「みなし公務員」規定は、同公庫の性格が行政機関に準ずるものであることから、職務の公正を確保する目的において合理的な根拠があり、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
特定の法人の役職員を罰則の適用につき「公務に従事する職員とみなす」とする規定(みなし公務員規定)が、不合理な差別として憲法14条1項に違反しないか。
規範
法の下の平等(憲法14条1項)は、国民各人の事実的差異に基づく不均等を認める場合であっても、その差別が一般社会観念上合理的な根拠に基づくものである限り、同条に違反しない。
重要事実
被告人は、農林漁業金融公庫(以下「公庫」)の役職員や、公庫から業務委託を受けた農林中央金庫の職員に対し贈賄を行ったとして刑法198条の罪に問われた。弁護人は、公庫の役職員等を刑事責任において公務員とみなす農林漁業金融公庫法17条・19条2項は、正当な理由なく特定の職務にある者のみを公務員と差別するものであり、憲法14条1項に違反し無効であると主張した。
あてはめ
農林漁業金融公庫は、農林漁業者への資金融通という公法上の目的を有し、政府が全額出資し、主務大臣の任命・監督や予算決算の法的規制を受けるなど、「行政機関に準ずる性格」を有する法人である。このような法人の役職員の職務は、一般の公務員と同様にその威信と公正を確保すべき強い必要性が認められる。したがって、当該役職員を刑罰法規の適用上公務員とみなし、職務の地位にない者と差別することには「合理的な根拠」があるといえる。
結論
本件各規定は、合理的な根拠に基づく差別であるため、憲法14条1項に違反しない。よって、被告人に贈賄罪を適用した原判決は妥当である。
実務上の射程
憲法上の平等原則の判断において「合理的根拠の有無」を基準とする枠組みを示す。答案上は、独立行政法人や特殊法人の役職員に公務員としての法的地位(贈収賄等の適用)を付与する立法の合憲性を論じる際の直接の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(あ)74 / 裁判年月日: 昭和38年5月24日 / 結論: 棄却
一 外貨買取済証明書を他から買受けてその外貨の枠を利用して輸出する、所論のいわゆる枠積輸出は標準決済方法による適法な輸出であると認めることはできない。 二 外国為替及び外国貿易管理法第六九条第三項は憲法第一四条に違反しないことは、当裁判所の屡次の判例(昭和二五年(あ)第三二六九号、同二八年六月二四日大法廷判決、集七巻六…