東京特別調達局管財部長は、法令によつて公務に従事する官吏たる公務員である。
東京特別調達局管財部長と公務員。
刑法7条,(旧)特別調達庁組織規程69条
判旨
賄賂罪における「公務員」およびその「職務」について、法令上に官職(部長等)を置く旨の直接の明文規定が欠けていても、当該部署の所掌事務が法令上明らかであれば、その長としての職務権限は事理の当然として認められる。
問題の所在(論点)
行政組織法上の設置規定(部長職の設置等)に直接の明文がない場合であっても、当該職員が刑法上の「公務員」として「職務」を行っているといえるか。いわゆる職務権限の法令上の根拠の有無が問題となる。
規範
刑法上の公務員(7条1項)および賄賂罪の客体となる職務権限は、必ずしも個別具体的な設置規定や職務記述を要しない。法令上、当該行政機関の組織および所掌事務の内容が明確に定められている場合には、その組織の長としての地位に伴う職務権限は、任命等の事実に基づき、事理の当然として法令上の根拠を有する公務に従事する者の職務と解される。
重要事実
被告人らは、特別調達庁東京特別調達局の管財部長であるBに対し、その職務に関して賄賂を供与した等として起訴された。弁護人は、当時の特別調達庁設置法や組織規程等には「管財部」に「部長」を置く旨の明文規定が欠如しているため、Bが管財部長として行う事務は法令上の根拠がなく、刑法上の「職務」に当たらない(またはBは公務員に当たらない)と主張して争った。
あてはめ
本件において、Bは総理府事務官の身分を有し、特別調達庁長官から東京特別調達局管財部長の官職を任命されていた。特別調達庁設置法や組織規程には、管財部自体の所掌事務は明確に規定されていた。このように部の事務内容が法令上明らかである以上、その部の長に任命された者が、当該事務を統括する職務権限を有することは事理の当然である。したがって、形式的な設置規定の不備があっても、Bは法令によって公務に従事する官吏たる公務員であり、その事務は法令上の根拠を有する職務に該当すると評価される。
結論
Bは公務員として法令に基づき職務を行う者に当たり、当該職務に関して行われた行為は賄賂罪の対象となる。したがって、被告人らの上告を棄却する。
実務上の射程
司法試験においては、公務員の職務権限の存否が争点となる際、組織法上の根拠が曖昧なケースでの論証に活用できる。「事理の当然」という論理により、実質的に行政組織の一部として機能し、事務が法令に配分されている限り、役職名等の形式的規定の欠如は職務権限を否定する理由にならないことを示す判例である。
事件番号: 昭和31(あ)4058 / 裁判年月日: 昭和35年6月21日 / 結論: 棄却
昭和二五年一二月二九日総理府令第五二合警察予備隊の部隊の編成及び組織に関する規程一八条によると、警察予備隊総隊総監部管理部長は、被服その他の需品の購入、配分及び保管の計画並びに補給計画の策定に関する事務等をその職務とするものと定められているところ、原審の認定によれば、進駐軍指令部の指示により、需品の購入等の調達事務も管…