日本国有鉄道の職員が、公共企業体職員等共済組合法第二条、第八五条に基づき、日本国有鉄道総裁の命によつて国鉄共済組合の業務に従事する場合において、その業務の執行は、刑法第一九七条第一項の職務に該当する。
日本国有鉄道の職員による国鉄共済組合の業務の執行は刑法第一九七条第一項の職務に属するか。
公共企業体職員等共済組合法2条,公共企業体職員等共済組合法85条,日本国有鉄道法34条,刑法197条1項
判旨
日本国有鉄道の職員が、組織規程に基づき命じられて国鉄共済組合の福祉事業(生活必需物資の買入等)に従事する場合、当該事務は日本国有鉄道の事務としての性格を有し、当該職員は日本国有鉄道法34条により「法令により公務に従事する者」とみなされる。
問題の所在(論点)
国鉄職員が国鉄共済組合の事務を取り扱う場合、当該事務が国鉄職員としての職務に含まれるといえるか。また、その者に対して金品を贈与する行為が刑法上の贈賄罪(みなし公務員に対する贈賄)を構成するか。
規範
公営企業の職員が別組織の事務に従事する場合であっても、それが所属組織の組織規程等に基づき、本来の職員たる身分において担当すべき職務として命じられたものであるならば、当該事務は所属組織の事務としての性質を有し、当該職員は刑法上の公務員(みなし公務員を含む)に該当する。
重要事実
日本国有鉄道(国鉄)の職員Aらは、公共企業体等職員共済組合法および国鉄総裁の命に基づき、国鉄共済組合の福祉事業(組合員への生活必需物資の買入・配給等)に従事していた。国鉄の組織規程においても、厚生課の事務分掌として「国鉄共済組合の給付、福祉事業その他業務運営に関すること」が明記されていた。被告人は、当該事務に関してAらに金品を贈与したとして贈賄罪で起訴された。
あてはめ
Aらは国鉄職員の身分を有したまま、国鉄組織規程に基づき厚生課の分掌事務として共済組合の業務を担当していた。この事務は国鉄法上の「法令により公務に従事する者」とみなされる根拠となる職務に含まれる。したがって、Aらが取り扱う共済組合の事務は「日本国有鉄道の事務」としての性質を帯びており、これに関して金品を贈与する行為は、職務に関する贈賄に該当すると評価される。
結論
国鉄職員がその職務として共済組合の事務を行う場合、当該職員は「法令により公務に従事する者」にあたり、これに対する金品の供与は贈賄罪を構成する。
実務上の射程
みなし公務員規定がある公営企業や公法人において、別法人の事務を兼務・受託している場合の職務密接関連性を判断する際の指針となる。組織規程や事務分掌に当該業務が含まれているかどうかが、職務権限の有無を確定する重要な判断要素となる。
事件番号: 昭和38(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和40年1月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賄賂罪における「職務に関し」の要件については、公務員の一般的職務権限に属するものであることを要する。被告人の行為が具体的職務権限に基づくものであることが認定されれば、同要件を充足する。 第1 事案の概要:被告人Aは、その職務行為に関して賄賂を授受したとして収賄罪に問われた。弁護人は、当該行為が職務…