暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条の数人共同シテ刑法第二二二条ノ罪ヲ犯ス罪と、刑法第二二二条の脅迫の罪とは、行為の態様により刑罰に軽重がある場合であつて、憲法第一四条の社会的身分によつて差別される場合にあたらないこと明らかである。
暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条の数人共同シテ刑法第二二二条ノ罪ヲ犯ス罪の法定刑が刑法第二二二条の脅迫の罪のそれより重いのは身分による差別か。
暴力行為等処罰ニ関スル法律1条,刑法222条,憲法14条
判旨
暴力行為等処罰に関する法律1条(集団的脅迫罪)と刑法222条(脅迫罪)の法定刑の差異は、行為態様の相違に基づく合理的な区別であり、憲法14条の法の下の平等に反しない。
問題の所在(論点)
数人共同して脅迫を行う場合に、通常の脅迫罪よりも重い法定刑を科す暴行行為法1条の規定は、憲法14条(法の下の平等)に違反するか。
規範
特定の犯罪類型において、行為の態様に応じて刑罰に軽重を設けることは、立法府の裁量の範囲内であり、それが社会的身分による差別等の不合理な区別にあたらない限り、憲法14条に違反しない。
重要事実
被告人らは、数人共同して他人を脅迫した。これにより、刑法222条の脅迫罪よりも重い法定刑を定める暴力行為等処罰に関する法律(以下「暴行行為法」)1条の罪に問われた。被告人側は、同一の脅迫行為に対して重い刑罰を科す本条は、不当な差別であり憲法14条に反すると主張して上告した。
事件番号: 昭和42(あ)3025 / 裁判年月日: 昭和43年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者のうち一部が起訴されず、またはより軽く処罰されたとしても、特定の被告人のみが起訴され、あるいは重く処罰されることは、直ちに憲法14条の法の下の平等に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人は共犯事件に関与したが、他の共犯者は起訴を免れ、あるいは被告人よりも軽い処罰を受けるにとどまった。…
あてはめ
暴行行為法1条は「数人共同シテ」という集団的な行為態様を要件としており、個別の脅迫行為とはその危険性が異なることに着目した規定である。これは単なる身分による差別ではなく、行為の態様(集団性・組織性)の違いに基づき刑罰に軽重を設けたものである。したがって、特定の社会的身分に基づく不当な差別にはあたらないと解される。
結論
暴行行為法1条は憲法14条に違反しない。したがって、被告人らを同条により処断した原判決は正当である。
実務上の射程
特別刑法が一般刑法よりも重い刑を定めている場合でも、その区別が行為態様の特殊性や危険性に基づくものである限り、憲法14条違反の問題は生じないとする実務上の基準を示すものである。答案上は、特別法の合憲性が争点となった際の簡潔な根拠として引用できる。
事件番号: 昭和30(あ)2602 / 裁判年月日: 昭和30年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法14条の法の下の平等は、犯罪行為を行った者がその処罰を免れる根拠となるものではなく、被害者の行為が不当であっても被告人の刑事責任は否定されない。 第1 事案の概要:被告人Aらは、被害者Bに対して犯罪行為を行ったとして起訴された。被告人側は、被害者Bが行っていたスパイ行為こそが被告人らの憲法上保…
事件番号: 昭和35(あ)397 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 棄却
一 暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項は、憲法第二一条に違反しない。 二 刑訴第四〇五条第二号または第三号にいう判例と相反する判断とは、法令の解釈適用について控訴審判決が何らかの判断をした場合においてその法律的判断が判例上の法律的判断と相反する場合をいう。
事件番号: 昭和31(あ)314 / 裁判年月日: 昭和33年4月22日 / 結論: 棄却
一 日本共産党員である被告人等が、町長選挙に際し、候補者(A)が前日居宅に火焔瓶投擲を受けて畏怖しつつあるのに乗じ、共同して同人を非難脅迫するビラを町内に撒布し同人を選挙において不利に陥れるとともに同人に右ビラを閲覧させてこれを脅迫すべきことを共謀し翌七月一二日共同して同町内で多人数に対し「天誅遂に下る。天人共に許さざ…
事件番号: 昭和43(あ)2733 / 裁判年月日: 昭和44年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が組織暴力団に属している事実や前科がある事実を量刑上の情状として参酌することは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は刑事裁判において有罪判決を受けたが、その際、裁判所が被告人が組織暴力団に属していたこと、および前科が8犯あることを理由として刑を量刑した。こ…