判旨
威力業務妨害罪(刑法234条)における「威力」とは、犯人の威勢、人数、四囲の状況等からみて、被害者の自由意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいい、暴行・脅迫に至らない程度の無形的な力も含まれる。
問題の所在(論点)
威力業務妨害罪(刑法234条)における「威力」の意義、および同罪の成否が問題となる。
規範
刑法234条の「威力」とは、犯人の威勢、人数、四囲の状況等に照らし、人の自由意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいう。これには暴行・脅迫のみならず、被害者の意思を制圧するに足りる程度の無形的・心理的圧力も含まれると解される。
重要事実
本件事案の具体的な事実は本決定文の記載からは不明であるが、第一審および原判決は、被告人の一定の行為(第一の所為)について威力業務妨害罪(刑法234条)の成立を認めていた。
あてはめ
本決定は、原判決が被告人の行為について刑法234条(威力業務妨害罪)を適用したことを「正当である」と判示した。具体的なあてはめの過程は決定文からは不明であるが、被告人が示した態様が、当時の周囲の状況等に照らして被害者の業務遂行にかかる自由意思を制圧するに足りる勢力であったと評価されたものと解される。
結論
被告人の行為は威力業務妨害罪(刑法234条)に該当し、本件上告は棄却される。
実務上の射程
本決定は、威力業務妨害罪における「威力」の解釈を明確にした重要判例である。司法試験等の答案上では、暴行・脅迫に至らない程度の嫌がらせや多人数での示威行動などが、業務従事者の心理的自由を制圧し得るものであるかを論じる際の解釈指針として活用すべきである。
事件番号: 昭和37(あ)426 / 裁判年月日: 昭和38年12月26日 / 結論: 棄却
刑法第二三四条の「威力」とは、犯人の威勢、人数および四囲の状勢よりみて、被害者の自由意思を制圧するに足る犯人側の勢力と解する相当とし、かつ右勢力は客観的にみて被害者の自由意思を制圧するに足るものであればよいのであつて、現実に被害者が自由意思を制圧されたことを要するものではないと解すべきである(昭和二五年(れ)第一八六四…
事件番号: 昭和36(あ)678 / 裁判年月日: 昭和38年5月31日 / 結論: 棄却
刑法第二三四条にいう「業務」の意義に関する原判示は正当である。 (原判示の要旨)刑法第二三四条にいわゆる「業務」とはひろく職業その他継続して従事する事務又は事業であつて社会上の地位として事実上平穏に行われているものを総称するものと解するを相当とする。
事件番号: 昭和29(あ)1896 / 裁判年月日: 昭和31年5月29日 / 結論: 棄却
原審は「被告人らは、もし運転中止の要求に応じなければ運転手Aに対し危害をも加えかねない気勢を示して同人を畏怖せしめた」事実をも認定しているのであるから、かような事実を以て同条にいわゆる「威力」に該るものとした原判決は正当である。
事件番号: 昭和44(あ)1105 / 裁判年月日: 昭和47年3月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法234条の「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力をいうと解すべきであり、憲法31条の適正手続に反して不明確であるとはいえない。 第1 事案の概要:被告人ら4名は、吹田操車場構内において、集団示威行動等を行った。この行動が威力業務妨害罪(刑法234条)に該当するとして起訴されたところ、弁護…