判旨
特別抗告の理由として憲法違反を主張する場合、申立書において原決定のいかなる部分がいかなる理由で憲法のどの条項の解釈を誤っているかを具体的に明示すべきであり、これがない場合は不適法となる。
問題の所在(論点)
憲法違反を理由とする特別抗告の申立書において、具体的理由の記載が欠けている場合に、適法な抗告理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告において、憲法違反を理由とする場合には、原決定における憲法解釈の誤りや違憲性の所在を、具体的かつ明確に摘示しなければならない。
重要事実
申立人(弁護人)が、原決定には憲法解釈の誤りがあるとの主張を掲げて特別抗告を申し立てた。しかし、提出された申立書には、原決定のどの箇所が、どのような理由で、どの憲法条項に違反するのかについての具体的な記述が欠けていた。
あてはめ
本件申立書は、単に「憲法の解釈を誤った違法がある」と抽象的に述べるにとどまり、原決定の具体的な判断内容と憲法条項との矛盾を論理的に説明していない。このような主張は、最高裁判所の判例(昭和33年7月29日大法廷決定)の趣旨に照らし、憲法違反の具体的な主張とはいえない。
結論
本件特別抗告は適法な理由を欠くため、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告の申立段階における理由書の記載の具体性を要求する実務上の指針。答案上は、不服申立ての適法性を論じる際や、上訴理由の具体性の要否が問われる場面で、手続的要件を満たさない例として参照される。
事件番号: 昭和27(し)34 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の対象となる事由が存在するか否かは、原審において弁護人が異議を述べ、裁判所がこれに対し却下の決定をなしたという事実の有無に照らして判断されるべきであり、それらの事実が認められない場合には、特別抗告は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:暴力行為等処罰に関する法律違反等に問われた被告人…
事件番号: 昭和39(し)3 / 裁判年月日: 昭和39年2月12日 / 結論: 棄却
刑訴規則第二七四条によれば、刑訴法第四三三条の特別抗告の申立書には、抗告の趣旨を簡潔に記載しなければならないと定められている。この規定は抗告申立書にその理由を記載するにあたつて、他の文書の記載を引用することは許されないという趣旨である。したがつて、抗告理由の記載の引用は不適法である。
事件番号: 昭和34(し)14 / 裁判年月日: 昭和34年4月13日 / 結論: 棄却
「原判決は不服であり、刑訴第四〇五条の理由ありと考えるので特別抗告を申したてる、抗告申立理由書は近日提出する。」というのみで抗告提起期間内に理由書の提出がないときは、同第四三四条、第四二六条第一項により特別抗告を棄却すべきである。
事件番号: 昭和49(秩ち)2 / 裁判年月日: 昭和49年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する規則に基づく抗告において、原決定の憲法違反を主張する場合には、具体的な理由の提示が必要であり、これを欠く抗告は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し、憲法31条(適正手続き)および34条(抑留・拘禁に関する権利)に違反する旨を主張して抗告を申し立…
事件番号: 昭和51(す)17 / 裁判年月日: 昭和51年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定に対する異議の申立において、具体的な理由が付されず、かつ異議申立期間内に理由書の提出もない場合には、当該申立は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人は暴力行為等処罰に関する法律違反の罪に問われ、最高裁判所により上告棄却の決定を受けた。これに対し、弁護人が異議の申立を行った…