「原判決は不服であり、刑訴第四〇五条の理由ありと考えるので特別抗告を申したてる、抗告申立理由書は近日提出する。」というのみで抗告提起期間内に理由書の提出がないときは、同第四三四条、第四二六条第一項により特別抗告を棄却すべきである。
特別抗告申立理由書が特別抗告提起期間内に提出されない場合の処置。
刑訴法433条,刑訴法434条,刑訴法426条1項,刑訴規則274条
判旨
特別抗告において、抗告提起期間内に具体的な抗告理由を記載した書面が提出されない場合には、抗告を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
特別抗告の提起にあたり、提起期間内に具体的な不服理由の記載がない場合、当該申立ては適法といえるか。刑訴法433条以下の特別抗告の手続における理由記載の必要性が問題となる。
規範
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、同法405条所定の事由があることを具体的に主張しないまま提起期間を経過したときは、申立てを不適法として棄却する(刑訴法434条、426条1項)。
重要事実
申立人は原決定を不服とし、刑訴法405条の理由があるとして同法433条に基づき特別抗告を申し立てた。申立書には「抗告申立理由書は近日提出する」旨が記載されていたが、抗告提起期間内に具体的な理由書の提出がなく、原決定に憲法違反や判例相反等の事由があることについて具体的な主張がなされなかった。
事件番号: 昭和35(し)1 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
特別抗告申立書が特別抗告提起期間内に、直接最高裁判所に差し出された場合に、それが最高裁判所から原裁判所に回送され、その期間経過後に原裁判所に到達したときは、特別抗告の申立は不適法である。
あてはめ
申立人は、形式的には刑訴法405条の理由がある旨を述べているものの、提起期間内にその具体的な内容を明らかにする書面を提出していない。このように、何ら具体的に原決定に法定の抗告事由があることを主張しない以上、特別抗告としての適法な要件を欠くものと解される。
結論
本件特別抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告や再審請求等、法定の限定された理由のみを許容する上訴・不服申立手続において、期限内に具体的理由を提示すべき実務上の義務を裏付ける。答案上は、手続的要件の具備を確認する文脈で使用する。
事件番号: 昭和53(し)43 / 裁判年月日: 昭和53年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において、抗告申立書に具体的な理由の記載がなく、かつ抗告期間内に理由書が提出されない場合には、申立は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人らは、原決定に対し特別抗告を申し立てた。申立書には「抗告理由の詳細は近く抗告理由書を提出するが、要するに刑訴法405条、411条所定事由を理…
事件番号: 昭和39(し)3 / 裁判年月日: 昭和39年2月12日 / 結論: 棄却
刑訴規則第二七四条によれば、刑訴法第四三三条の特別抗告の申立書には、抗告の趣旨を簡潔に記載しなければならないと定められている。この規定は抗告申立書にその理由を記載するにあたつて、他の文書の記載を引用することは許されないという趣旨である。したがつて、抗告理由の記載の引用は不適法である。
事件番号: 昭和40(し)82 / 裁判年月日: 昭和40年11月27日 / 結論: 棄却
申立人提出の昭和四〇年一〇月二二日付「回答」と題する書面によれば、抗告理由の追加記載が認められるけれども、右は抗告提起期間経過後提出にかかる不適法なものにつき、これに対しては判断を要しない。(昭和三四年(し)第一四号同年四月一三日第三小法廷決定、刑集一三巻四号四四八頁参照。)
事件番号: 昭和38(し)44 / 裁判年月日: 昭和38年11月8日 / 結論: 棄却
所論は、違憲をいうけれども、略式命令が被告人に告知されたというには、その謄本が適法に送達されたというだけでは足りず、被告人が現実に略式命令を知ることを要するものとなし、原決定が略式命令謄本の適法な送達があつたときは、これにより略式命令の告知がなされたものというべきであると解したことを非難するものであつて、刑訴法第四六五…