所論は、違憲をいうけれども、略式命令が被告人に告知されたというには、その謄本が適法に送達されたというだけでは足りず、被告人が現実に略式命令を知ることを要するものとなし、原決定が略式命令謄本の適法な送達があつたときは、これにより略式命令の告知がなされたものというべきであると解したことを非難するものであつて、刑訴法第四六五条第一項同規則第三四条を解釈を争う訴訟法違反の主張に帰し、原決定に刑訴法第四〇五条に規程する事由があることを主張するものとは認められない。かつ原決定の右解釈は正当であつて当裁判所はこれを支持する。
刑訴法第四六五条第一項同規則第三四条の解釈と刑訴法第四〇五条に規程する事由の存否。
刑訴法465条1項,刑訴法405条,刑訴法54条,刑訴規則34条,憲法32条,憲法37条1項,民訴法171条1項
判旨
略式命令の告知は、被告人が現実にその内容を了知することまでは要せず、略式命令謄本が適法に送達されたことによって有効に成立する。
問題の所在(論点)
略式命令の告知(刑訴法465条1項、規則34条)が有効に成立するために、被告人が現実に命令の内容を了知(現実の知得)する必要があるか、あるいは謄本の適法な送達があれば足りるか。
規範
刑事訴訟法465条1項、刑事訴訟規則34条に基づく略式命令の告知は、被告人が現実に命令の内容を知ることを要せず、略式命令謄本の適法な送達があれば、これによって告知がなされたものと解するのが相当である。
重要事実
申立人は、略式命令の謄本が送達されたものの、被告人が現実にその内容を知らなければ告知としての効力を生じないと主張し、適法な送達のみをもって告知があったと判断した原決定を憲法違反であるとして特別抗告を申し立てた。
事件番号: 平成18(し)82 / 裁判年月日: 平成18年4月24日 / 結論: 棄却
即時抗告の申立てを受理した裁判所は,刑訴法375条を類推適用してその申立てを自ら棄却することはできない。
あてはめ
最高裁は、略式命令の告知に関する原決定の判断を正当として支持した。すなわち、送達という手続的要件が適法に満たされていれば、その時点で法的な告知の効力は発生する。被告人の個人的な現実の知得を要件とすることは、迅速な処理を目的とする略式手続の性質や送達制度の趣旨に照らし、採用できないと解される。
結論
略式命令謄本の適法な送達があれば、これによって告知がなされたものというべきであり、現実の知得は不要である。
実務上の射程
略式命令に対する正式裁判請求の期間制限(刑訴法465条1項)の起算点となる「告知」の解釈を明確にしたものである。答案上は、告知の不備を理由に正式裁判請求の遅滞を正当化しようとする事案において、送達の適法性のみを検討すれば足りるという論理として活用できる。
事件番号: 昭和44(し)50 / 裁判年月日: 昭和44年11月11日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が当該刑の言渡を受けた者に告知された後に刑の執行猶予期間が経過した場合には、この棄却決定に対して適法な特別抗告の申立があつても、同決定の執行が停止されないかぎり、同決定の告知により執行猶予言渡の取消の効果が発生し、刑の執行をなしうるものであることは、最高裁判所昭和四〇年…
事件番号: 昭和34(し)14 / 裁判年月日: 昭和34年4月13日 / 結論: 棄却
「原判決は不服であり、刑訴第四〇五条の理由ありと考えるので特別抗告を申したてる、抗告申立理由書は近日提出する。」というのみで抗告提起期間内に理由書の提出がないときは、同第四三四条、第四二六条第一項により特別抗告を棄却すべきである。
事件番号: 昭和38(し)45 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。したがって、抗告審の決定を不服としてなされた異議申立てを不適法として棄却した原判決は正当である。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(原々決定)に対し、当該高等裁判所へ異議の申立て…
事件番号: 昭和37(し)50 / 裁判年月日: 昭和38年10月31日 / 結論: その他
一 被告人が公判期日に出頭しなければ、判決の宣告ができない事件につき、被告人不出頭のまま判決の宣告をした瑕疵があつても、上訴提起期間は判決宣告の日から進行する。 二 右の場合において、控訴申立書と題する書面に、被告人が判決宣告の翌日判決通知書を受けた旨並びに右判決に不服を申し立てるについては上訴権回復の請求に関する刑訴…