旧道路交通取締法施行令第四一条に基づく旧新潟県道路交通取締規則(昭和三一年新潟県公安委員会規則第一号)第八条による第二種原動機付自転車の二人乗の禁止が同条の改正により廃止されても、その廃止前にこれに違反した行為について、同施行令第七二条第三号の刑の廃止があつたものということはできない。
旧道路交通取締法施行令第四一条に基づく旧新潟県道路交通取締規則(昭和三一年新潟県公安委員会規則第一号)第八条の改正と刑の廃止の有無
旧道路交通取締法23条1項,旧道路交通取締法30条,旧道路交通取締法施行令41条,旧道路交通取締法施行令72条3号,旧新潟県道路交通取締規則(昭和31年新潟県公安委員会規則1号)8条,旧新潟県道路交通取締改正規則(昭和33年新潟県公安委員会規則2号)9条,道路交通法附則14条,刑訴法337条2号
判旨
委任命令により定められた具体的制限が変更されても、委任法規自体が存続し、かつ該命令が時々の実状に応じ適宜変更されることを当然の予定としていれば、刑の廃止(刑訴法337条2号)には当たらない。
問題の所在(論点)
委任法規に基づき公安委員会が定めた具体的な乗車制限規則が改正され、行為当時禁止されていた行為が制限対象外となった場合、刑訴法337条2号の「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当し免訴とすべきか。
規範
刑訴法337条2号にいう「刑の廃止」とは、単に事実上の制限内容が変更された場合を指すものではない。委任法規が、地方の実状や時々の必要に応じて制限を適宜変更すべきことを当然に予想しており、行為当時の制限違反を不可罰とする趣旨を含まない場合は、委任に基づき具体的内容を定めた命令(規則)が改正されて当該行為が制限対象外となっても、基本法規である法律・政令が存続する限り、可罰性は失われない。
重要事実
被告人は、道路交通取締法および同施行令に基づき定められた旧新潟県道路交通取締規則が禁止していた「第二種原動機付自転車への二人乗り」を行った。しかし、第一審判決前に同規則が全面的に改正され、第二種原動機付自転車は取締対象から除外された。第一審および原審は、これを「犯罪後の法令による刑の廃止」にあたるとして免訴を言い渡したため、検察官が上告した。
事件番号: 昭和34(あ)316 / 裁判年月日: 昭和37年4月4日 / 結論: 破棄自判
一 旧道路交通取締法施行令第四一条に基づく旧新潟県道路交通取締規則(昭和三一年新潟県公安委員会規則第一号)第八条による第二種原動機付自転車の二人乗の禁止が同条の改正により廃止されても、その廃止前にこれに違反した行為について、同施行令第七二条第三号の刑の廃止があつたものということはできない。 二 原審は第一審の免訴の判決…
あてはめ
道路交通取締法および施行令は、危険防止のため交通規制の具体的内容を地方の実状に通ずる公安委員会の判断に委ねている。施行令41条は制限が適宜変更されることを当然に予想しており、同72条3号はその時々の制限に違反する行為を可罰的なものとして処罰する趣旨と解される。本件において、罰則の根拠である法および施行令は改廃されておらず、単に委任に基づく規則の内容が事実上の変更(緩和)を受けたに過ぎない。したがって、法令の基本的改廃による刑の廃止があったとは認められず、被告人の行為の可罰性は維持される。
結論
本件は刑の廃止には該当しない。原判決および第一審判決を破棄し、被告人を科料300円に処する。
実務上の射程
白地刑罰法規において補充規範が変更された際、それが「事実上の変更」に過ぎないのか「法律的評価の変更(刑の廃止)」にあたるのかを判断する基準を示す。交通規制のような流動的な行政取締法規については、前者の「事実上の変更」と判断されやすく、免訴とはならない可能性が高いことを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和34(あ)125 / 裁判年月日: 昭和37年4月4日 / 結論: 棄却
旧道路交通取締法施行令第四一条に基づく旧新潟県道路交通取締規則(昭和三一年新潟県公安委員会規則第一号)第八条による第二種原動機付自転車の二人乗の禁止が同条の改正により廃止されても、その廃止前にこれに違反した行為について、同施行令第七二条第三号の刑の廃止があつたものということはできない。
事件番号: 昭和27(あ)4121 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律の改正により罰則が廃止された場合であっても、改正前の行為については、別段の経過規定がない限り、刑法6条(刑の変更)の問題ではなく「刑の廃止」として免訴(刑訴法337条2号)となるべきかが問題となるが、本判決はこれを否定した先例を引用し、本件について刑の廃止には当たらないと判断した。 第1 事案…